2008年1月31日

『大人の投資入門』北村 慶・著

【私的年金ファンドを作る方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569697623

本日の一冊は、大手グローバル金融機関で投資ファンドやM&A仲
介、金融商品開発に携わり、ベストセラー『貧乏人のデイトレ 金
持ちのインベストメント』の著者としても知られる北村慶さんが、
年金不安の時代に「私的年金ファンド」の作り方を指南した一冊。

※参考:『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569649599/

コンセプト自体、興味をひかれますが、内容はさらに斬新。多くの
書籍が私的運用だけで理想のアセット・アロケーションを行おうと
しているのに対して、本書ではわれわれ全員が投資している「公的
年金」のポートフォリオを知り、足りない部分を私的年金で補う、
という考え方をとっています。

著者によると、現在の日本の「公的年金」のアセット・アロケーシ
ョンは債券偏重であり、必ずしもバランスがいいとは言えません。

それに対して著者は、国内外の株式をどのように組み込んでいけば
いいか、不動産、ヘッジファンド、プライベート・エクイティなど
の「オルタナティブ投資」についてはどう考えるべきか、明確な指
針を示しています。

年齢が上がるにつれてアセット・アロケーションの比率を変えたり、
また状況に応じてリバランスする方法も指南しており、じつに実践
的な内容です。

また、多くの株本が考え方だけで終わるか、タイミングのずれた推
奨銘柄紹介に徹するのに対し、本書では、個人が市場に負けないた
めの堅実な投資法と商品の選び方を指南しています。

短期で儲けたい方には向いていませんが、老後の生活費を今からど
うやって確保するか、真剣に考える人には一読の価値ありです。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ゆうちょや銀行や証券会社の窓口に相談しても、そこで勧められる
商品は、実は「買ってはいけない」ものが多い

◆年金の受給額に影響を与えるファクター
1.出生率 2.寿命(平均余命) 3.運用利回り

◆政府年金投資ファンド(GPIF)の運用対象
1.国内債券 2.国内株式 3.外国債券 4.外国株式 5.短期資産

ある運用対象の「期待利回り」と「ボラティリティ」が分かってい
る場合、統計学上、その投資によるパフォーマンス(運用成績)を
予想することができる

株式に投資をしていれば、40年に1回程度は、その価値が6割程度
(4割程度の損失)となってしまう、ということが統計的に分かっている

「政府年金投資ファンド(GPIF)」の19兆円の儲けの秘密は、
このように、運用ポリシーを大切にし、値下がりしても恐れず、ア
セット・アロケーションを変えなかったことにある

日本の「公的年金」のアセット・アロケーションは、(1)「債券」
偏重である、(2)「不動産」に投資しておらず、分散が効いていない

長期に投資することにより、株式や債券が本来持つ収益率に収斂していく

◆MPT(モダン・ポートフォリオ・セオリー)
・資産運用において、もっとも大事なことは、ポートフォリオをどう組むか
・値動きが相互にあまり関係しないアセットクラスを組み合わせる
 ことが、運用成績を安定的にする秘訣である

相互に値動きに関係のない資産を組み合わせた「ポートフォリオ」
のボラティリティは、単純な和ではなく、それより小さいルート
(二乗和の平方根)に止まります

◆「私的年金」運用における4つの前提
1.運用対象には、価格の透明性と流動性が必須
2.「値下がりリスク」は許容可能
3.運用成績は、市場の平均で十分
4.少額だが継続的な投資が可能

◆「私的年金」運用における成功の鍵
1.「国内株式」「外国株式」中心の運用
2.パッシブ運用(インデックス運用)
3.定時定額運用

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『大人の投資入門』北村 慶・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569697623
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◆目次◆

序 章 はじめに
第1章 あなたは年金をいくらもらえるのか?
第2章 あなたの年金はこうやって運用されている
第3章 世界の年金基金の最先端運用法はこれだ!
第4章 ”私的年金ファンド”を作ろう!
第5章 こうやって運用すれば年金不安も怖くない
第6章 明るい未来のために
あとがき

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