2007年12月13日

『地頭力を鍛える』

【知らないことを推定する技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555986

本日の一冊は、「Think!」2007年春号に掲載され、大反響を呼んだ「フェルミ推定で鍛える地頭力」をベースに書かれた注目の一冊。

ここで言う「フェルミ推定」というのは、「『東京都内に信号機は何基あるか?』『世界中にサッカーボールはいくつあるか?』といった、把握することが難しく、ある意味荒唐無稽とも思える数量について何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法」のことで、外資系コンサルティング会社やマイクロソフトの入社試験にも採用されています。

本書のコンセプトは、この「フェルミ推定」を、地頭のトレーニン
グに採用しようというもので、これまでにない斬新な内容。

著者によると、「地頭力」の本質は「結論から」「全体から」「単
純に」考える三つの思考力であり、「フェルミ推定」は、これらを
鍛えるための強力なツールなのだそうです。

本書では、「フェルミ推定」で解を導くための具体的な手順が書か
れており、知識偏重に陥らないよう、例題も用意されています。

この「フェルミ推定」や「仮説思考力」「フレームワーク思考力」
「抽象化思考力」は、いわゆる戦略コンサルタントが使っている本
格的な問題解決思考であり、これからはビジネスパーソンにとって
も重要なスキルの一つになるでしょう。

考え方や問題解決に関する本は山ほど出ていますが、これだけの内
容が一冊に盛り込まれているのは贅沢な感じがします。

地頭を鍛えたい方、表現力を伸ばしたい方、経営を飛躍させたい方
は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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曖昧模糊とした対象物に対して「情報が少ないなりに結果を算出す
る」と強く意識することが重要であり、ここで「情報が少ないから
算出は難しい」と考えたらその瞬間にゲームオーバー

使える情報が限られた場面では「先に進むために前提条件を決める」
能力が必要になってくる

フェルミ推定をどうやって活用し、抽象化思考力を鍛えるか? キ
ーワードは三つで、(1)モデル化、(2)枝葉の切り捨て、(3)
アナロジー(類推:ある事象を類似のものから説明すること)

「せっかくだから……」「どうせなら……」という言葉が聞こえた
ときには要注意である。本来あるべきベクトルの向きと主客逆転が
起きて手段が先行する考えになっている可能性がきわめて高い

「情報がない」という認識が間違っているのであり、実は必ず何ら
かの情報は持っているのにそれを使おうという姿勢がない場合がほとんど

「どのくらいでできそうか?」と考えて納期を見積もるのではなく、
「この納期でどこまでできるか?」と考えるのがタイムボックスの
根本にある発想

音楽の世界では、素人は相対的な音の高低というのはわかっても、
それらを別々に聞いたときには相対的な関係がわからないが、ある
音を単独で聞いたときにもそれは「この高さの音」と五線紙上(つ
まりこれが絶対座標系)にすぐにマッピングできるのが絶対座標を
持ったプロということになる

どんな場合に聞き手が「いつ終わるかわからない」と感じるのか?
それは話の全体像が示されぬままに話がだらだらと進行する場合が多い

フレームワークで考えるということは、項目を抽出した後にその項
目に従って分類用の箱を考えるのではなく、「箱を別に考える」と
いうことである

一見途方もなく算出が複雑そうで途方に暮れてしまいそうな電柱の
本数も例えば「単位面積当たりの本数」×「面積」、あるいは「単
位世帯当たりの本数」×「世帯数」という因数分解を試みれば一つ
一つの要素は何とか推定が可能なものとなりうる

最終結果の精度を決定するのは「一番精度が低い」部分であり、そ
れ以外のところはいくら詳細に落としても全体の精度向上には直接
的につながらない

往々にしてイノベーションというものは、こういった「似ても似つ
かないようなものに共通性を見つける」という発想から生まれる

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『地頭力を鍛える』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555986
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┃▼目次▼
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┃ はじめに
┃ 第1章 「地頭力」とは何か
┃ 第2章 「フェルミ推定」とは何か
┃ 第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか
┃ 第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
┃ 第5章 「結論から考える」仮説思考力
┃ 第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力
┃ 第7章 「単純に考える」抽象化思考力
┃ 第8章 地頭力のベース
┃ 第9章 さらに地頭力を鍛えるために
┃ おわりに
┃ 
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