2007年9月16日

『夢の百姓―「正しい野菜づくり」で大儲けした男』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4891731044

本日の一冊は、農協を通さない、取引先に野菜を取りに来てもらうなど、一見非常識なやり方で大成功した「伝説の百姓」、横森正樹さんによる、注目のベストセラーです。

横森さんは、若い頃に本場カリフォルニアで、ビジネスとしての農業を学び、また祖父から受け継いだ「生産のすべては健全な土づくりにあり」という哲学を守り、大成功しました。

本書はその横森さんによる、農業哲学です。

農業の話ではありますが、その本質の部分は、企業経営にもつなが
るところがあります。

とくに、作物の可否を論じる前に基本である「土づくり」を考える、
不必要な機械への投資を控え土に投資する、という考え方は、すべ
てのビジネスに通じる話だと思います。

また、取引先との間に強固な信頼関係を築くこと、記録をとること
こそが経営の第一歩、という考え方は、わかっているようでなかな
か実践できていないものです。

現在、多くの企業が目先の利益にとらわれて、将来の成長を犠牲に
した戦略を取っていますが、そのことがいかに愚かか、思い知らさ
れる内容です。

農業でも何でも、経営の基本はいつだって変わらない。そのことを
再確認させてくれる一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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早い畑だと五月にあいてしまう畑もあるので、「もったいない」と
言う人もいるけれど、それは畑を大事にしない人の言葉だと思う。
しかも二回、三回使うとすると、それぞれにプラスの経費がかかっ
てくるので、経済的にも損をすることになるわけだ

私の農業は「土づくり」を基本とする農業である。土を大事に考え、
土を豊かにすることに常に力を入れてきた

私がどうやって「土づくり」をしているかというと、実はそれほど
特別なことをしているわけではない。要するに、いい土を作るため
に、まず、いい堆肥を作ることから始めているのである

土づくりとは何か、いい農産物とは何かということを見失った瞬間
から、実は、農業経営は成り立たなくなるのだ。どんなに時代が変
わろうとも、農業の基本は「土づくり」である。この基本を忘れて
しまったのが、いまの日本の多くの農家だと思っている

農業に自信をもっていれば、心に誇りがあれば、服装を着替える必
要はない。自らの職業に自信をもてば、世間を気にする必要などない

私は周りの農家を見て心配になったことがひとつあった。それは機
械への過剰投資である

ただ野菜を買ってもらうのではなく、こっちの考えや希望ははっき
りと主張し、相手のためにできることは最大限する。こうした取引
は、長い間の信頼関係があってこそ成り立つものだと思う。価格が
安いとか、高いとかいった表面的なことだけでは、決して生まれな
い信頼関係だと思うのである

私は彼に、一日の作業内容や使った資材など、すべてについて記録
を取らせた。自分でデータをつければ、次からは自分一人でできる
はずである。私自身も記録をつけることで農業経営をしてきた。記
録をとることは経営の第一歩である

現代っ子にこうした厳しい作業をさせるのは容易ではない。でも、
一つの秘訣がある。それは「口だけで厳しくせず、自分もいっしょ
になって働く」ということである。実際に手本を見せてあげるのである

自分で効果がありそうだと思う資材があればそれを土に撒くべきで
ある。機械に回すお金があるなら、「土づくり」のために使うべき
だと思う

勉強だと思ってやったのに思わぬ収穫があったような場合、利益を
上げようなどと考えてはいけない。できるだけ安く供給して、まず
相手に得をとらせるのである。そうすればあとにつながるだろう

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『夢の百姓―「正しい野菜づくり」で大儲けした男』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4891731044
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┃▼目次▼
┃ 
┃ 第1章 野菜づくりは土づくり
┃ 第2章 循環型の農業に戻そう
┃ 第3章 祖父に教えられた農のこころ
┃ 第4章 アメリカで知った農業経営
┃ 第5章 道草くって、ようやく農業へ
┃ 第6章 第二の農業のスタート
┃ 第7章 炭と木酢との出合い
┃ 第8章 「がんこ村」の生産者になる
┃ 第9章 足で学んだ経営手法
┃ 第10章 スーパーとの直接取引
┃ 第11章 農協に求められる改革
┃ 第12章 次世代農業者の育成、私のやり方
┃ 第13章 うちに来た海外研修生たち
┃ 第14章 農家をめぐる環境を見極めよ
┃ 第15章 輸入農産物に勝つための秘策はある
┃ 第16章 自立した農家だけが生き残る
┃ 第17章 「信州がんこ村」は新しい農協
┃ 第18章 私の息子も百姓になった
┃ 第19章 百姓の夢
┃ あとがき
┃ 
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