2007年9月24日

『下流社会 第2章』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334034179

本日の一冊は、大ベストセラーとなった『下流社会』の続編です。

※参考:『下流社会』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033210

「下流ほど自民党とフジテレビが好き」をはじめ、歯に衣着せぬ物
言いで話題をさらった本ですが、今回は、前著で指摘されたデータ
サンプルの少なさをカバーしながら、新たな視点を追加して書かれ
ています。

今回の主張として目立つのは、男性の下流化と、それに伴う職業意
識、結婚観、消費スタイルの変化です。

本書によると、「30歳以上の男性のほぼ2割は、妻に年収500万円
以上を求めて」おり、以前から言われていた「将来不安」の存在を
改めて感じさせられます。

個人的に参考になったのは、厳しい仕事に耐えられない「SMAR
T男」の仕事への意識と消費スタイル。

ユニクロの「地域限定社員」制度を絡めて今の若い男性の職業意識
を解説しており、20代男性を雇用する経営者にとっては参考になる
内容です。

また、近年問題になっているコミュニケーション能力の問題に触れ
た点も、興味深く読ませていただきました。

ただ、前著でも見られた論理の飛躍や憶測が今回も散見され、人に
よっては不快に感じる内容だと思います。

読み物としてはおすすめしませんが、純粋に消費者分析という視点
なら、読むと何か発見があるかもしれません。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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女性が結婚相手の男性に求める年収は高い。「女性階層化調査2次
調査」によれば600万円以上が64%だった

30歳以上の男性のほぼ2割は、妻に年収500万円以上を求めている

年収の高い男性ほど妻に求める年収が高い。こうなると、年収の高
い男性ほど妻の年収が高く、年収の低い男性ほど妻の年収が低いと
いうことになり、夫婦合計した年収の格差が拡大することになる

新自由主義的競争は、多くの場合、低価格化競争に陥り、商品やサ
ービスの質を低下させる。競争すれば質が上がると新自由主義者は
言うが、私はそれは嘘だと思う

『SPA!』より正社員率の高い雑誌は『Gainer』だけ

30~34歳の派遣は61.5%が中国は嫌い、53.8%が韓国は嫌いと答え
ており、かつ同じく61.5%が反社会的な書き込みの多さで悪名高い
インターネットサイトの「2ちゃんねる」を利用している

下流度の高い雑誌は『R25』と『SPA!』

SPA!男に特徴的なのは、「仕事は仕事、趣味は趣味というふう
に割り切りたい」という人が33.3%いる点(中略)対して、SMA
RT男は「好きなことを仕事にしたい」が61.3%、「趣味を生かせ
る仕事がしたい」が32.3%、「自分の適性に合った仕事がしたい」
が54.8%

SMART男は、オークションで欲しいものを探して安く購入し、
気に入らなければまたオークションで売るという消費を最も盛んに
行っているタイプらしい

SMART男は厳しい仕事に耐えられない人間に育っている。たと
えば、仕事についての考え方であてはまることとして、「満員電車
に乗るのはいやだ」が71.0%、「転勤はあまりしたくない」が51.6
%、「結婚後の単身赴任はいやだ」が38.7%でる

今の若者には、昇進、昇給をするからもっと働けというよりも、束
縛がないことのほうが重要なのだ

失業したりニートになったりするのは、コミュニケーション力の不
足に起因することが多い

男女の格差を縮めた結果、女性同士の格差=「女女格差」が広がった

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『下流社会 第2章』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334034179
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┃▼目次▼
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┃ はじめに
┃ 第1章 すがりたい男たち
┃ 第2章 SPA!男とSMART男
┃ 第3章 上流なニート、下流な正社員
┃ 第4章 下流の自分探しを仕組んだビジネス
┃ 第5章 心が弱い男たち
┃ 第6章 危うい「下流ナショナリズム」
┃ 第7章 踊る下流女の高笑い――女30歳の勝ちパターンはどれか?
┃ おわりに――新しい正社員像を描くべき時代
┃ あとがき
┃ 
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