2007年9月20日

『スタバではグランデを買え!』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478002290

本日の一冊は、『金融広告を読め』『金融工学の悪魔』などの好著で知られるエコノミスト、吉本佳生さんが、「同じモノでも値段が違う理由」「違うモノなのに値段が同じ理由」を、経済学的に明らかにした一冊。

※参考:『金融広告を読め』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033067
※参考:『金融工学の悪魔』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535551871

タイトルにもあるスターバックスのコーヒーや自販機のお茶、映画
のDVDなどを題材に、「価格の謎」に迫った、楽しい読み物です。

本書によると、本当に同じモノが違う価格で売られている場合、そ
こには「取引コスト」が発生しています。

われわれ人間は単に価格の違いのみを考えているのではなく、その
取引に秘められた取引コスト(時間と労力、余分なお金の支出、他
の資産の使用、心理的負担など)を考えて購買しているのです。

本書にはほかにも、小売店の合理的な立地戦略、値づけ戦略、携帯
電話の料金システムがやたらと複雑な理由など、じつにさまざまな
トピックが登場し、知的好奇心を満たしてくれます。

経営者にとっては、価格以外の要因で競争優位を作るためのヒント、
ビジネスパーソンにとっては頭のトレーニングになる一冊です。

経済学の知識は要らないので、ぜひ読んでみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

本当に同じモノがちがう価格で売られているケースでは、その理由
はひとつしかありません。取引コストと呼ばれるコストの存在です

「時間と労力(手間)、余分なおカネの支出、他の資産の使用、心
理的負担」といったものが、買い物の代金とは別にかかるとき、そ
れを取引コストと呼びます

どんな取引をするときでも取引コストがまったくかからないとすれ
ば、「同じモノは同じ価格」の状況を実現させようとする強力な作
用が働きます ※裁定取引など

店側は、客の取引コストが小さくなるくふうをすることで、商品の
価格を値下げしなくても、来客を増やすことができます

私たちの生活や仕事のスタイルが変化すれば、買い物をする際の取
引コストも変化します

買い物の取引コストの節約は、じつは、消費者と店の共同作業とし
ておこなわれています(中略)創意くふうの意欲がある店は、消費
者の生活スタイルにあわせて商品の並べ方を変えるなどして、取引
コストの節約を助けてくれます

製品Aと製品Bの両方を使用するときに、いつも持ち運ぶとか、毎
日充電をしておく必要があるとか、操作方法を覚えなければならな
いといった、両者に共通のコストがあり、それが大きいとしましょ
う。そこで、企業がAとBの両方の機能を持った「製品A+B」を
開発して、消費者がそちらを使用するようになると、共通のコスト
の部分で節約ができます。2つの製品についての操作を覚えて持ち
運ぶ必要があったのに、ひとつの製品だけで済むからです。これが
範囲の経済性によるコストの節約です

複雑さに屈する消費者は、価格差別の餌食になる

カフェが1杯のコーヒーを提供する際にかかるコストのうち、コー
ヒー豆やミルクなどのコストが占める割合は非常に小さい

合理的に行動したいなら、埋没コストはすでに消えてしまった価値
として、きっぱりあきらめるべき

————————————————
『スタバではグランデを買え!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478002290
————————————————

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃▼目次▼
┃ 
┃ はじめに 同じモノがちがう価格、ちがうモノが同じ価格
┃ 第1章 ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで
┃     買うべきか?
┃ 第2章 テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜか?
┃ 第3章 大ヒット映画のDVD価格がどんどん下がるのはなぜか?
┃ 第4章 携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか?
┃ 第5章 スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?
┃ 第6章 100円ショップの安さの秘密は何か?
┃ 第7章 経済格差が、現実にはなかなか是正できないのはなぜか?
┃ 第8章 子供の医療費の無料化は、本当に子育て支援になるか?
┃ 最終章 身近な話題のケース・スタディ
┃ おわりに 他人と同じだから得なこと、ちがうから得なこと

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー