2007年8月14日

『定量分析実践講座』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490324153X

本日の一冊は、意思決定のさまざまな手法を、具体的なビジネスのケースを用いて学ぶ、というコンセプトのテキストブック。

「定量分析」とタイトルに掲げられていることから、分析手法だけに限定したかなり堅い本をイメージしていましたが、実際には、ビジネスに役立つ意思決定のエッセンスも紹介された良書です。

具体的な分析手法の解説は、必ずしも簡単とは言い難く、それなりに骨が折れますが、賢明な意思決定をするために学んでおいて損はありません。

「機会費用」や「サンクコスト(埋没費用)」などの概念を知って
おくだけでも、意思決定にかなりの違いが出ると思います。

また、感度分析をはじめ、賢い意思決定のスパイラルを回していく
ための手法も紹介されており、経営者にとっては必読の内容です。

なお、扱っているケースは、フランチャイズの選択、新店舗立地の
検討、社員研修の実施、店舗買収の検討など、計16ケース。

ケース主体の学習のため、かなり実践に近い形で学べるのが特長です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「実行」は結果にそく結びつき、「評価」されやすい運命にある
(中略)一方、意思決定は、評価との時間的距離が遠い

数字は強力であるだけに、まちがった使われ方をされる恐れもある
(中略)数字の独り歩きはどこの世界でも起きることであり、諸刃
の剣になりうることを忘れてはならない

◆意思決定の3つの評価軸:「合理性」「価値観」「感情」

最終提案ゲームとは、1000円を自分と見知らぬ人に分配するゲーム
である。ルールは、あなたの提案通りに分配されれば2人ともお金
を得られるが、もし相手が拒否したら2人とも1円も手に入らない。
分配を提案するのはあなたで、相手には拒否権がある。さて、あな
たは相手にいくら渡すか、というゲームだ。合理的な結論は「自分
が999円取り、相手には1円を渡す」である。相手はまったく得られ
ないよりも、1円でも得るほうがうれしいはずだからだ。しかし、
実際に実験してみると、大半の人は相手に30~50%の金額を提示する

平均以外の代表指標には「メディアン(中央値)」や「モード(最
頻値)」、「加重平均」などがある。代表値にばらつきが加わると、
いっそう全体像を把握しやすくなる。その代表格が「標準偏差」である

お金を支出する費用も大切だが、「得られたはずの便益が得られな
かった」機会費用は、実はかなり大きい。機会費用を考慮するかど
うかで、判断がわかれることもある。機会費用を侮ってはいけない

サンクコストに囚われてしまうことは案外多い。しかし、サンクコ
ストに影響を受けてはいけない ※サンクコスト:埋没費用

投資の意思決定は、会計上の損益ではなく、つねにキャッシュ・フ
ローで評価しなければならない

お金の使い方は、その調達方法に影響を受けるべきではない

◆感度分析のステップ
1.結果に影響を与える要素を、重要と考える順にピックアップ
2.それぞれの要素ごとに想定できる振れ幅、つまり最小値と最大
  値(つまりレンジ)を設定する
3.要素ごとに、最小値と最大値が起きた場合の成果の値(たとえ
  ば利益額)を計算する
4.結果が要素ごとにどれだけの振れ幅があるのか、絶対値と比率
  で記録する
5.要素を影響度の大きさで並べ、インパクトの大きさの順位を決
  め、プライオリティをつける
6.各要素の振れ幅の間でさまざまに数字を動かして結果を算定し、
  シミュレーションを行う

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『定量分析実践講座』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490324153X
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┃▼目次▼
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┃ はじめに
┃ 第1章 ビジネスパーソンにとっての合理的意思決定の意味
┃ 第2章 リスクのもとでの意思決定
┃ 第3章 確実性のもとでの意思決定(1)
┃ 第4章 確実性のもとでの意思決定(2)
┃ 第5章 意思決定原理を定める
┃ 第6章 不確実性のもとでの意思決定
┃ 
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