2006年12月2日

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033709

本日の一冊は、大ベストセラーとなった『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』の著者、城繁幸さんによる注目の新書です。

※参考:『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334933394/

現在は、人事コンサルタントということで、微妙な立場にいる著者ですが、スタンスとしては若者の立場に立ち、理不尽な年功序列のしくみに批判を加えています。

興味深いのは、「若者がすぐ辞めてしまう」「忍耐がない」理由を、企業が若者に求めている要件に求めている点。

厳しい競争を勝ち抜いてきた職業意識の高いたちは、「なんでもやります」的な就職活動で入社した先輩たちとは違う。

その点こそが若者が批判される理由、と喝破している点は、じつに興味深く読ませていただきました。

本書にはほかにも、若者たちのひどい待遇や、その結果起こっている社会的問題に関する記述があり、今後の日本企業の人事を考える上で、貴重なヒントを与えています。

20代、30代のビジネスパーソンは必読の内容です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社会の二極化が叫ばれるなか、より安定したレールを目指す風潮は
強まっているように思う。そう、昭和的価値観の復権だ。たとえば、
二〇〇五年度の新入社員を対象とした意識調査では、就職先として
「年功序列制度を維持している企業」を挙げる人の割合が四二パー
セントを超え、過去一〇年間で最高を記録した(産業能率大学調査)。
公務員人気は依然高く、本来は短大卒業者を対象とするコースであ
っても、大卒者が過半数を占める自治体も珍しくない

たしかに、「なんでもやります」的な就職活動で入社した先輩たち
にとって、「自分がこの会社に来たのは○○をやるためだ」と言っ
てのける後輩はわがままかもしれない。ただそれは、企業の厳しい
選考を勝ち残るために必要な進化の結果だということは明記しておきたい

いまの若者は、下手をするとただの下働きだけで生涯を送るはめに
なる可能性がある

実はバブル世代こそ、もっとも貧乏くじを引いた存在

二〇〇五年に、全国に設置されている自殺防止相談窓口に寄せられ
た電話のうち、三〇代が占める割合が最多であった

一九九八年には九〇万人程度だった派遣労働者数は、わずか五年で
二〇〇万人を超えた

非正規雇用の約八割が、三〇歳以下の世代に集中している。いまや
若年層(二四歳以下)の二人にひとりは、これら非正規労働者だ

経済アナリストのなかには、日本に新しい中高年市場が誕生し、新
たな市場牽引役となることを期待する向きも強い。実際、すでに郊
外の住宅やリゾート物件、中型以上のバイクなど、シニア世代向け
の贅沢品需要は伸びつつある。だがその裏には、正社員の半分以下
の賃金で、派遣や請負、フリーターとして使い捨てられる若者の存
在があることは忘れてはならない。彼らが”人並みの”収入を得て、
結婚し子供を作る代わりに、社会はリゾートマンションや大型バイ
クの売上を選んだわけだ

もし、心から格差をなくしたいと願うのなら、それは当然、年功序
列の否定をともなわねばならない

◆転職で後悔する人間が多い理由
最大の理由は、彼ら自身が「自分の動機」に気づく前に、安易にレ
ールを降りてしまった点にある

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『若者はなぜ3年で辞めるのか?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033709
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■目次■

はじめに 「閉塞感の正体」を見きわめる
第1章 若者はなぜ3年で辞めるのか?
第2章 やる気を失った30代社員たち
第3章 若者にツケを回す国
第4章 年功序列の光と影
第5章 日本人はなぜ年功序列を好むのか?
第6章 「働く理由」を取り戻す
あとがき

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