2006年12月3日

『ユニクロvsしまむら』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313007

本日の一冊は、アパレル業界専門店の2大巨頭、ユニクロとしまむらを、両社に詳しい著者が徹底分析した一冊。

これまでマスコミには一切出なかった、しまむらの専務取締役、後藤長八氏の話など、著者独自の取材による記述もあり、さまざまな面から両社の強みを知ることができます。

ユニクロ、しまむらの2社を追うことで、マーケットの変化と、それに伴う小売業の変遷、個々の企業がどうやって生き残りを図るべきなのか、示唆を得ることができる、というのが本書の最大のメリットでしょう。

2社のビジネスへのアプローチや方法論は、まったく対照的ですが、共通しているのは、徹底したコスト管理。

売上げ変動に負けない強い体質を作りは、あらゆる商売の基本であり、じつに参考になります。

経営者的には、集客やコスト管理に関する情報をもっと突っ込んで取材して欲しかったところですが、2社のビジネスの大枠を知る上では参考になる一冊だと思います。

アパレル業界、小売業界の方、それ以外でも、ユニクロ、しまむらに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

現在のユニクロは約700店舗。対するしまむらはその1.4倍、約1000
店舗の既存店を全国展開している

衣料品支出額は直近05年度も16万1280円と89年以降の過去最低を更新。ピーク時91年の約29万円に比べ、実に45%もの激減ぶりだ

流通業は今、「消費者の購買代理人」として、市場で求められる商
品をいかに生産者から適時・適品・適量に調達・供給し、その期待
に応えられるかという、よりレベルの高い機能が求められている

「20世紀は製造技術の革新の時代だったが、21世紀は提供技術の革
新の時代になる」(菱食会長 廣田正)

問屋無用論などというのはとんでもない見当違いだ。成熟消費でモ
ノ余り、モノ離れ現象が急速に進展し、製造セクションのインパク
トがますます弱体化する中、中間流通のポジションは逆に高まる一
方である

店舗の大型化と、坪効率の低下という趨勢にきちんと対応して、し
っかりと儲けを出す小売業ほど強い

しまむらの経費率は上場アパレル小売チェーンの中では最も低い21.7%

しまむらはこの10余年で売上を2.8倍に、店舗数を3.4倍に、売場面
積を4.7倍にそれぞれ拡大している。にもかかわらず、売上対販管費
比率はこの十数年間ほとんど変化が見られない

直接顧客の目に触れる店や商品は全く別物だが、目に見えない後方
の仕組みは共に既存のインフラがフル活用される。そこがしまむら
の多業態戦略における最大の強みである

ユニクロ、しまむらの両社は、もはや日本の大衆衣料の価格(相場)
決定権を結果的に牛耳ってしまった。しかも追随する他社の多くは、
それができる(安く売る)仕組みや経費構造、そして明確な政策を
欠いている

コモディティとブランドの狭間にこそ、今後の成長領域がある

「消費創造時代」における、強い流通業であるためのキーワードは、
「ソリューション」「ディスティネーション」「ライフスタイル」

————————————————
『ユニクロvsしまむら』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313007
————————————————

■目次■

プロローグ なぜ今、「ユニクロvsしまむら」なのか?
第1章 中間流通の不要化(ユニクロ)と内包化(しまむら)
第2章 [早わかり] ユニクロ、しまむら 創業と成長の軌跡
第3章 まさに対極に位置する経営・業態構造
第4章 トップのマネジメントとその生き様
第5章 成熟消費時代を突破する2強の「市場解読力」
第6章 ”日本発”世界標準流通業を目指して
第7章 「2強の天下」はいつまで続く?
エピローグ ユニクロ、しまむらは何を破壊し何を創造したのか?

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー