2006年10月14日

『ビジネスマンに贈る最後の言葉』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757212984

本日の一冊は、世界的に有名な会計事務所、KPMGのCEOを務
めながら、余命100日を宣告された著者が、残りの人生で書き上げた
注目の一冊です。

失うことを意識して初めて気づく、というのは往々にしてあること
ですが、本書の著者が気づいたのは、「今」を生きることの価値でした。

一年先まで埋まっているスケジュール、10年間でわずか2回の妻と
の平日のランチ――。大企業の経営トップであった著者は、毎日多
忙な日々を、「将来」のために費やしていました。

ところがその「将来」が、末期ガンによって打ち砕かれてしまったのです。

頑張れば「引退後は豊かな生活ができる」と信じ、ひたすら走り続
けてきた著者が、人生を振り返って後悔したこと、幸せに感じたこと。

これらは、多くのビジネスパーソンに、生き方そのものを考え直さ
せるよいきっかけとなるに違いありません。

過去や未来に振り回されるのをやめ、「今」を真剣に生きること、
周りではなく自分の情熱をコントロールすること、意味ある人生を
送るために、歴史の流れの中に身を置いているという自覚を持つこと…。

数多くのメッセージが、私たちによりよく生きるための指針を与え
てくれる、そんな一冊です。

日々の生活を見直す意味でも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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経営者という立場柄、私は絶えず将来に思いを馳せていた。会社を
さらに発展させるにはどうすればいいか、上質のサービスをこれか
らも提供していくには……。そう、実際は今を生きているはずなの
に、私の視線の先にあったのは、今よりも大切に見えるがその実、
とらえどころのない将来だった

コリーンとともに紡いできた数々の将来プランも、いっさい白紙に
戻さなくてはならない。私は激しい後悔に襲われた。というのも、
夫婦水入らずの時間を削ってまで何年ものあいだ世界を飛び回り、
仕事漬けの毎日を送ってきたのは、ひとつには、これだけ頑張れば
引退後は豊かな生活ができるだろう、との思いがあったからだ

いずれにしても、私はガンを早期に発見できなかった。いつでも走
ってばかりいて、立ち止まってあたりを見渡すゆとりがなかったか
らだろうか

命の火が消えるのをわずかばかり先延ばしするために、身も心もす
りへらす意味があるのだろうか? まして、愛する人たち、私を最
後まで世話してくれる人たちを消耗させる意味などあるのだろうか。
特に、自分を痛めつけたせいで、残された日々がより込み入ったも
のになり、豊かさも情熱も失われ、人生の輝きが褪せてしまうとしたら

時の流れは緩めることも、速めることもできない。まわりの環境に
しても、すべてを変えるのは無理である。だが情熱は自分でどうに
でもなる。何にどれだけの情熱を傾けるか、まわりからの働きかけ
に対してどれだけの情熱で応えるか、自分で決められるのだ

多くの人は過去に思いを馳せがちである(中略)この一瞬に生きる
ことを学び、自分の境遇と正面から向き合えば、中身のとても濃い
時間を過ごせるだろう

私はかねてから歴史書に関心を寄せてきた。学ぼうという姿勢さえ
あれば、歴史書は知恵の宝庫である。常々感じていることだが、世
の中に役立つ意味ある人生を送るためには、歴史の流れの中に身を
置いているという自覚が求められる

「恵まれた境遇に置かれた人は、果たすべき責任も大きいものです」
(イーガン大司教の言葉)

たったひとつだけ、彼の力ではどうにもならないものがあった。
時間である。

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『ビジネスマンに贈る最後の言葉』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757212984
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■目次■

人生の贈り物
運命の宣告
天国への険しい階段
美しい死に花に乾杯
美しい別れ
旅立ち
光を追い求めて

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