2006年10月21日

『アマゾンのロングテールは、二度笑う』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062820315

本日の一冊は、ボストンコンサルティンググループ、ネットベンチ
ャーを経て、現在百年コンサルティングの代表を務める著者が、50
年勝ち残る会社をつくるための8つの戦略を紹介した、企業戦略の
教科書です。

「なぜイトーヨーカドーはダメになったのか」「なぜ松下はマネシ
ナクなったのか」「なぜアマゾンはロングテールで二度笑うのか」
など、キャッチーな見出しで、それぞれの企業の戦略およびビジネ
スモデルを分析しており、じつにいい勉強になります。

本書の優れた点は、その洞察もさることながら、戦略を実行する際
に障壁となる、経営者およびメンバーの人間心理にまで触れている
点だと思います。

なぜ「優秀な人材を抱える会社ほど、環境の悪い方への変化に脆い」
のか、なぜ理容業界はQBハウスのビジネスモデルを真似できない
のか、なぜ日本のメーカーはITビジネスで遅れをとったのか…。

企業が「有利な戦略」を実行できないさまざまな心理的理由がケー
スから読み解けて、経営者の心構えとしても学ぶべきところが数多
くあります。

まさに著者が言うように、「一番の敵は自分の心の中にある」のです。

とくに目新しい事例が紹介されているわけではありませんが、現在
成功している企業の戦略およびビジネスモデルをじつにうまくまと
めていると思います。

企業戦略の入門書として、ぜひ読んでいただきたい良書です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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自分のいる場所、つまり市場を分析し、再定義して、それから自分
が戦うのに都合のよい市場、つまり戦うべき有利な土俵を選ぶ能力。
これが戦略の第一の基本です

劣っている戦力でも何かに集中して徹底的に鍛えると、その部分に
限定すれば、短期間で何とか戦えるレベルにまで上げることができます

海の上の戦いでありながら、ローマは海戦を陸戦という土俵に見事
に転換した

優秀な人材を抱える会社ほど、環境の悪い方への変化に脆い

「縮小する市場で売上を伸ばす工夫」は可能ですが、そのような工
夫ばかりしていると、結局は負け組の土俵に埋もれてしまう

平均して30年の事業寿命を企業が乗り越えるには、ビジネスの中身
を変える、土俵を変えるといったことを定期的に行っていかなけれ
ばなりません

戦略論については、「差異化が重要である」という考え方が広まっ
ていますが、実は、この考え方にはもう一つ対になる大切な考え方
があるのです。それは「業界トップにとっては、同質化こそが重要
な戦略である」という考え方です

同質化を基本戦略とするトップ企業は、何を武器に同質化を仕掛け
ているのでしょうか。それは基本的には「商品開発力」と「販売力」

ジョージアが日本一売れる缶コーヒーになったのは、コカ・コーラ
の自動販売機の数が、日本国内でダントツに多いから

一番の敵は自分の心の中にあるのです。「それは私の仕事じゃない
だろう」と感じさせるものが大きければ大きいほど、その新しいビ
ジネスアイデアは、競争なしのオンリーワンになる可能性が高い

仮想在庫から上がるロングテールの売上がゼロになり、倉庫にある
在庫からしか売上が上がらないようにしただけで、アマゾン・ドッ
ト・コムはバーンズ&ノーブルと同じ水準の、普通の小売業ぐらい
にしか儲からなくなってしまう

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『アマゾンのロングテールは、二度笑う』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062820315
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■目次■

プロローグ
第1章 なぜイトーヨーカドーはダメになったのか
第2章 なぜ松下はマネシナクなったのか
第3章 なぜ小川直也はインリン様に負けたのか
第4章 なぜ外資系金融マンはBMWを買うのか
第5章 なぜスタバはアメリカンコーヒーを駆逐したのか
第6章 なぜローソンとファミマは上海のコンビニに勝ったのか
第7章 なぜアマゾンはロングテールで二度笑うのか
第8章 なぜウィンドウズには欠陥があるのか
エピローグ 

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