2006年9月27日

『ドラッカー入門』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478307032

本日の一冊は、ドラッカーの翻訳者として、またドラッカーの思想
の水先案内人として、30年以上にわたって活躍してきた著者が、ド
ラッカーの作品と主張、人となりを解説したドラッカー入門書です。

ドラッカーの魅力は、本人亡き後も、いたるところで論じられてい
ますが、本書はそんなドラッカーファンたちのドラッカーへの思い
を総括するような一冊です。

ドラッカーの生い立ちから、処女作『「経済人」の終わり』以降の
著作と思想の変遷、そしてマネジメントにおいてドラッカーが果た
した役割…。

膨大な量の著作をベースに広がった、ドラッカーの果てしない思索
の世界を、初心者にもわかりやすく解説してくれています。

長年、ドラッカーの翻訳者としてともに歩んできた著者の、ドラッ
カーへの愛情が伝わってくる一冊。

初心者ならずとも、ぜひ読んでいただきたい、読み応えのある一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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ドラッカーとは刺激してくれる存在、確認してくれる存在、背中を
押してくれる存在である。ひと言で評するならば、ドラッカーとは
それぞれのドラッカーである

問題の答えを教えてくれるわけではない。問題を自分で見つけ、自
分で答え、自分で行動することを助けてくれる。しかし明日からで
はなく、今日から動けという。彼のいうことは思い当たることばか
りである

マネジメントは、人を幸せにするための組織の運営の方法として誕
生した。それは金儲けの手法でも、モデルに数字を入れるというゲ
ームまがいのものでもなかった。その出自は、あくまでも堂々たる
ものだった

ドラッカーは、世紀のベストセラーとなった『断絶の時代』におい
て、「若者の中でも最も有能な者、最も知的な資質に恵まれた者、
最も聡明な者こそ、知識に裏づけられた技能を使うテクノロジスト
としての能力をもってほしい」といったのだった

ドラッカーは、ソフィストとソクラテスとの違い、儒教と道教、儒
教と禅との知識観の違いは、人は「いかに(How)」生きるかという
問題と、人とは「何か(What)」という問題の、いずれを中心におく
かという問いの違いにあったとする

ドラッカーの考えでは、未来についていえることは二つしかない。
第一に、未来はわからない。第二に、未来は現在とは違う。したが
って未来を知る方法も、二つしかない。一つは、すでに起こったこ
との帰結を見ることである。彼自身の予測にしても、すでに起こっ
たことの帰結、つまりすでに起こった未来を知らせるにすぎない
(中略)未来を知るもう一つの方法は、自ら未来をつくることである

組織のメンバー全員が、自らを律する帝王学を身に付けなければな
らない。全員がトップのように働かなければ、組織の成功、社会の
繁栄はない

「学ぶことのできない資質、習得することができず、もともともっ
ていなければならない資質がある。他から得ることができず、どう
しても身に付けていなければならない資質がある。それは才能では
なく、真摯さである」(ドラッカー『現代の経営』より)

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『ドラッカー入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478307032
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■目次■

はじめに――ドラッカーとは何者か
第1章 人が幸せであるためには何が必要か――ドラッカーの問題意識
第2章 転換期のクライマックスはこれからだ――ドラッカーの時代認識
第3章 論理ですべてがわかるとしてはならない――社会生態学者ドラッカー
第4章 万人のための帝王学を求めて――マネジメントの父ドラッカー
第5章 何をもって憶えられたいか――セルフマネジメントの方法論
第6章 世界のモデルとなりうるか――ドラッカーが恋した日本
おわりに――ドラッカーとの出会い

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