2006年8月14日

『ナレッジワーカー』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270001224

本日の一冊は、21世紀に入ってもなお発展途上の、知識労働の生産
性に関する考察です。

著者は、雑誌「Consulting」で「世界のトップ25コンサルタント」
の1人に選ばれたというトーマス・H・ダベンポート。

本書では、ナレッジワーカーとその職場に関する豊富やデータをも
とに、知識労働の生産性を高めるにはどうすればいいか、マネジャ
ー、ワーカー双方の視点から書かれています。

なかでも興味深いのは、情報管理に熟達した10名の共通点や、優秀
なナレッジワーカーが上質な関係作りのために心掛けていること。

知識労働のマネジメントというと、支援手段としてのITツールば
かりが目につきますが、本当に大切なのは、アナログ、デジタルを
問わず人間的な結びつきにフォーカスすること。

上司―部下の関係を考えても、情報を得るための外的ネットワーク
を考えても、やはり人的な結びつきはナレッジワークに欠かせない要素。

では、その結びつきを損ねないために、また強化するためにマネジ
メントはどうすればいいのか。そんなことを考えさせられる一冊です。

ナレッジワーカーの評価やモチベーションマネジメントで悩んでい
る方は、ぜひ読んでみてください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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「肉体労働の生産性を上げることが前世紀の大きな課題であったよ
うに、知識労働の生産性を上げることが今世紀の大きな経営課題に
なるだろう」(ドラッカー)

ナレッジワーカーの第一の特徴は、指図を嫌うことだ。頭脳労働で
報酬を得るには、自力で考えなければならない

知識労働の場合、ナレッジワーカーの言葉を信じるしかない。とい
うより、こちらのほうが重要だが、彼らの行為を信じるしかない。
同僚との雑談が時間のむだだとか、思考に時間をかけることをやめ
ても大勢に影響しないとか、軽々しく決めつけてはならない

ナレッジワーカーは、仕事の成果が公正であるかどうかだけでなく、
その成果にいたるプロセスがフェアかどうかを気にする

知識労働を適切に評価するには、産業、プロセス、業務ごとに方法
を変えなければならない

あなたがナレッジワーカーなら、あなたの仕事の質を知り、敬意を
払ってくれる人たちのネットワークを維持することが大切である

人間は、考え、反芻する時間をたっぷりと与えられてこそ、革新的、
洞察的でありうる

業務を改革するさいにはつねに、プロセスとプラクティスの両方を
考慮する必要がある

プラクティスを本当に理解するには、詳しい観察と、ナレッジワー
カーが特定の方法で業務を遂行するにはそれなりの理由があるとい
う哲学的な理解が必要だ

◆情報管理に熟達した10名の共通点 ※一部紹介
・むやみに道具を使わない
・相互に連携性のないツールの数を増やさない
・情報の整理に手間をかける
・紙を使うか電子媒体を使うかについてはこだわらない

◆優秀なナレッジワーカーが上質な関係作りのために心掛けていること
1.個人的な関係を築く
2.約束を守る
3.積極的にお返しをする

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『ナレッジワーカー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270001224
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■目次■

第1章 ナレッジワーカーとは
第2章 ナレッジワーカーの相違点
第3章 知識労働の管理・成果測定・実験
第4章 知識労働のプロセス
第5章 ナレッジワーカーとテクノロジー
第6章 ナレッジワーカーの能力強化
第7章 ナレッジワーカーのネットワークと学習への投資
第8章 職場環境とナレッジワーカーのパフォーマンス
第9章 ナレッジワーカーのマネジメント

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