2006年7月19日

『テレビCM崩壊』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798111147

本日の一冊は、アメリカにおける広告主のマス広告離れの現状と、
その問題の本質を鋭く突いた、話題作。予想通り、アメリカにおい
ては、マーケティング書籍のベストセラー入りを果たしたそうです。

本書には、マーケティングの殿堂として知られるノースウエスタン
大学の名誉教授、ドン・シュルツも推薦の辞を寄せており、その中
で氏は、「本書を書いたのが私だったら良かったのに」とまで言っ
ています。

では、肝心の内容はと言うと、ズバリ、マス広告終焉の兆しとなる
データを並べて分析し、著者の所見を述べたもの。

シニカルな語り口でマス広告の問題点と、広告代理店の不誠実さを
指摘しており、読み物としてはじつに痛快な内容です。

土井は以前に、有名クリエイターたちが集まるセミナーに参加し、
彼らの広告主の顔色ばかりうかがう姿勢にうんざりしたものですが、
アメリカでもどうやら状況は変わらないようです。

本書のなかで著者は、広告代理店の言い訳を一刀両断し、効果がな
いのに不当に高い広告費や、クリエイティブの問題点を冷静に分析
しています。

本書の弱点をあえて挙げるとすると、数年前と比べ、インターネッ
ト広告の値段が随分と高騰している現在、単純にインターネット広
告礼賛はいたしかねる、ということ。

ただ、本書で指摘されている問題は、いつどのメディアにも起こる
ことであり、メディアが抱える本質的な問題でもあります。

メディア・広告に携わる方は、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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テレビCMは、人と違う事をするのを恐れるマーケターによって作
り上げられた神話である。しかし今では、その神話が崩れているこ
とがはっきりしてきた。今こそ、その効果・効率を見直し、台頭す
るニューメディアに眼を向けるべきだ

2004年12月に行われた調査会社Knowledge Networksの調査結果によ
ると、47%の視聴者が、番組終了後あるいはコマーシャルをスキッ
プするために、チャンネルを替えると答えている

75%の消費者が、実は「ながら視聴」、つまり、しゃべったり、食
べたり、雑誌を読んだり、インターネットをしたりと別のことをし
ながらテレビを見ている

テレビの映画番組「ワールド・プレミア」は最悪である。映画館に
も行かず、DVDも所有せず、ビデオオンデマンドも映画チャンネ
ルも引いていない、まるでここ数年洞穴で生活していた消費者のた
めの番組としか思えない

今日の消費者は、自分で自分の行動を決める。この現実を受け止め、
消費者が、できるだけスムーズに購買ができる助けになるツールを、
複数の方法で提供するほうが、実はずっと賢明なマーケティングである

◆変わり行く消費者の消費行動 ※一部紹介
1.今日の消費者は情報通である
4.今日の消費者は繋がっている
5.今日の消費者は時間に追われている

◆Brandchannelの調査による北米のトップブランド(2004)
10年前には存在しなかったようなブランドが地位を占めている。そ
してこれらのブランドのどれもが、テレビCMなどしていない

マーケター達は、ROIではなくRUE、つまり関連性
(Relevance)、
実用性(Utility)、娯楽性(Entertainment)を目指すべきなのである

アメリカ広告機構の調査によると、メディア総予算のうち、平均8.35
%が現在インターネット広告に分配されており、2007年には、この
数字が17%に増加すると予想されている

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『テレビCM崩壊』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798111147
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■目次■

第1部 問題
第2部 解決法……Re:think:4つのマーケティングの要素の再検討
第3部 10のアプローチ……マーケティングと広告を変革するために

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