2006年5月17日

『ライフサイクルイノベーション』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479811121X

本日の一冊は、ハイテク製品のライフサイクルを説き、大ベストセ
ラーとなった名著『キャズム』の著者、ジェフリー・ムーアの待望
の新刊です。

※参考:『キャズム』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798101524

※この本に関してはアマゾンに土井の書評がありますので、ご覧くださ

本書のテーマとなっているのは、多くの企業で問題となっているで
あろう、「イノベーション」。

このイノベーションを成功に導くためには、トップの決断力や戦略
の一貫性、経営資源の集中など、さまざまなポイントがあるわけで
すが、本書では、それらのポイントをくまなくあぶり出しています。

イノベーションとそれを妨げる慣性力のマネジメントをどうするか。

複雑性とそれに対するソリューションを提供することで成り立つコ
ンプレックス・システム・モデルと、コモディティを大量に扱うこ
とで儲けるボリューム・オペレーション・モデル、どちらを採用する
か。

それぞれのモデルが競争優位を獲得するにはどうすれば良いのか…。
じつに考えさせてくれる一冊です。

個人的には、ウォーレン・バフェットと同じく、「イノベーション
は祭りを見るのにつま先立ちするようなもの」と思っているので、
それだけに巻き込まれるのはごめんですが、それでもライフサイク
ルを意識した経営、というのは大事だと思います。

ぜひみなさんも読んでみてくださいね。

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■ 本日の赤ペンチェック
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イノベーションと慣性力は深く関係し合っており、両者に並行的に
対応していくことが必要である

イノベーションと慣性力に同時に対応するための手法は単純だ。コ
ンテキストに費やされている経営資源を抜き出して、コアに再配分
するということである

◆イノベーションが十分な効果を発揮できない理由
1.リスク回避の発想
2.企業戦略の整合性の欠如

他社の追随を許さない企業はみなひとつの明確な価値提案を中心に
企業戦略の整合性を完全に取っていた

競合優位を得るためのイノベーションの正しい方向性は、自社のビ
ジネス・アーキテクチャのやり方を維持することであり、他のアー
キテクチャが優勢な時にそのやり方を真似ることではない

市場に現行製品が受け入れられなかった場合のベスト・プラクティ
スは、迅速に組織再編を行い、収益源を限定しつつ、既存の利益率
モデルを維持し、次世代の製品で主流の市場にカムバックすること

初期市場においてボリューム・オペレーション型企業が成功するた
めのより容易な道は破壊的テクノロジーのことは忘れて破壊的ビジ
ネスモデルにフォーカスすること

コンプレックス・システム型企業におけるマーケティングはユニー
クで特権的な地位を追求する行為だ。これは、影響力を持つ顧客と
独占的な関係を確立し、維持することを意味する

◆14のイノベーション・タイプ
1.破壊的イノベーション
2.アプリケーション・イノベーション
3.製品イノベーション
4.プラットフォーム・イノベーション
5.製品ライン拡張イノベーション
6.機能強化イノベーション
7.マーケティング・イノベーション
8.顧客エクスペリエンス・イノベーション
9.バリュー・エンジニアリング・イノベーション
10.インテグレーション・イノベーション
11.プロセス・イノベーション
12.バリュー・マイグレーション・イノベーション
13.自立再生イノベーション
14.企業買収再生イノベーション

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『ライフサイクルイノベーション』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479811121X
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■目次■

日本語版刊行によせて
謝辞
まえがき 本書の内容とその背景
第1部 基本モデル
 第1章 イノベーションの効果
 第2章 イノベーションと市場カテゴリーの成熟度
 第3章 イノベーションとビジネス・アーキテクチャ
第2部 イノベーションを管理する
 第4章 イノベーションのタイプ
 第5章 成長市場におけるイノベーションの管理
 第6章 成熟市場におけるイノベーションの管理
 第7章 衰退市場におけるイノベーションの管理
 第8章 イノベーション選択のプロセス
第3部 慣性力を管理する
 第9章 コンテキストから資源を抜き出す
 第10章 コアに向けた資源の再配分
 第11章 企業内の慣性力管理プロセス
訳者あとがき
用語解説
索引

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