2006年5月19日

『ひらめき脳』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101629

本日の一冊は、「クオリア」をキーワードに、脳と心の関係を探求
し続けている脳科学者、茂木健一郎さんによる「ひらめきの秘訣」で
す。

著者によれば、ひらめきやアイデア発想というのは、決して天才だ
けの特権ではなく、誰にでも起こるもの。

ただ、実際にひらめくためには、いくつかのコツがある、というので
す。

読んでいて「なるほど」と思ったのは、退屈な環境こそがひらめき
を生む、というもの。

著者の言葉を借りれば、「(脳が)『退屈という空白』を補おうと、
何かを自発的に作りだそうと」することによって、ひらめきは起こる。

だとすれば、考え方次第で引きこもりやニートも悪くない、という
ことになります。

また、作家や編集者には辛い話かもしれませんが、「人間は、ある
程度追いつめられなければ、本当のひらめきを起こすことはできな
い」のだそうです。

やはり締め切りの存在はありがたい、ということです。

もっと深く知りたい、という方には物足りない内容かもしれません
が、「自分には創造力がない」といってあきらめてしまっている方
には、励みとなる一冊です。

これからの時代に必須の、「クリエイティビティ」を鍛えるために、
ぜひ読んでおきたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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「私は人より頭が良くない」とテストの点数や偏差値だけで判断し
てしまっては、生まれるはずのひらめきも生まれません。脳という
のは抑圧をしてしまうと、潜在的な能力を発揮することができない

「学習」というと、知識をいかに頭に詰め込むかが勝負と勘違いす
る人も多いのですが、学習とは、外の情報をそのまま取り入れるこ
とではありません。どんな学習でも能動的に気づく、つまりひらめ
くというプロセスを経ないと定着しません

リラックスできる環境は、表現を変えると退屈な時間、退屈な場所
でもあります。しかしどうやら脳は退屈が嫌いではないようなので
す。むしろ「退屈という空白」を補おうと、何かを自発的に作りだ
そうとします。だからこそ、ひらめく

ひらめきで重要なことの一つに、「メタ認知」というものがありま
す。メタ認知とは、自分の置かれている状況を外から客観的にみる
能力のことです

脳における空白こそ、人生の本質です。空白がなくなると人生は終
わりも同然。空白がすべて書き込まれ埋まってしまうと、新しいこ
とが入る余地がない。つまりそれこそ夢も希望もないということに
なります

不確実な状況に対してどう適応するかというのが、感情の働きの一
番重要なものなのです。言い換えると、何が起こるかわからないと
いう状況が感情を生み出す

創造する意欲とはつまり、記憶のアーカイヴの中からワーキング・
メモリーとして何をどのくらい蘇らせるか、その点にかかっている

感情は、理性にコントロールされているのではなく、むしろ理性を
支えている。これが、最先端の脳科学の考え方

「安全基地(保護者が子どもに与える安心感)」に包まれてさえい
れば、子どもは必要なことは勝手に探索し、勝手に学習していく

◆セレンディピティ(思わぬ幸運に出会う力)の条件
1.行動 2.気づき 3.観察 4.受容 5.理解 6.実現

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『ひらめき脳』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101629
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■目次■

1.ひらめきの時代
2.ひらめきを生む環境
3.ひらめきの正体
4.脳とひらめき
5.ひらめきと学習
6.記憶の不思議
7.不確実性を乗り越えるために
8.ひらめきとセレンディピティ
9.ひらめきを掴むために

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