2006年4月24日

『兼業・兼居のすすめ』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064

本日の一冊は、野村総合研究所の理事を務める著者が、団塊世代の
活用と少子化問題の解決、地方の活性化を同時に解決する、「兼業」
「兼居」の制度とライフスタイルを提案したものです。

ライフスタイルとして読むのであれば、『半農半Xという生き方』の
方が読みやすくていいと思いますが、社会制度全体を考える、とい
う意味では、本書がおもしろい視点を提供してくれます。

※参考:『半農半Xという生き方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4789720659

統計やアンケート結果をもとに、人々が何を考えているのか、どん
なライフスタイルの可能性があるのか、そしてそれを支えるために
国や地方はどんな制度を準備するべきなのか、じつにさまざまなヒ
ントが盛り込まれています。

来るべき「兼業・兼居」社会における生き方、そしてそこで生まれ
る新たなビジネスチャンス。

若干読みにくくはありますが、今後の社会を見通す上で、重要な示
唆を与えてくれる一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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60歳以降も仕事をしたいと考える人は、男性で4分の3、女性は2
分の1に達する。高齢になっても仕事をする理由は、収入のためと
いうよりも、「健康のため」65%、「仕事が趣味」36%、「働くべ
き」30%、「社会とのつながり維持」24%、「収入のため」21%と
なっている

兼業システムとは、帰属する会社での貢献を例えば半分にする代わ
りに、給料を半分にするというシステム

”3割兼業”という新しい雇用モデルの導入によって、320万人に
及ぶ新規雇用が可能となり、かつ230万人相当ものベンチャー予備
軍が発生する可能性をもつ

◆兼業の3つのモデル
1.ワークシェアリング 2.個人時間分割 3.夫婦攻守交替

かつては自分で大工仕事もし、庭の手入れもし、野菜もつくり、食
事さえつくれていたものが、外部化によって自己能力の開発の場を
喪失してきたのなら、新しい住まい方は、「失われた自己能力の復
権の場」として住まいが再び捉え直されることになる

大都市の”親の住宅”問題を解く鍵は、子ども世帯が親の家に同居
し、親が同居の気詰まりを解消するために”別途の住まい”生活を
送れる環境をもつことである。この”別途の住まい”を2軒目の住
まいとして”地方の空き家”に求めることで、地方の”親の住宅”
問題を解くことを期待する。この”別途の住まい”を「兼居」という

兼居市場を有効に機能させるためには、まず、地方の空き家300万
戸の”検地”とでもいうべきことを行う必要がある

兼居が進展すれば、地方での人材と知恵の交流が活発化するだろう。
一時定住する大都市や海外からの住民のなかには、大企業での活動
経験者や異文化の知恵をもった人が少なからずいることになると考
えられるため、こうした知恵が地方に流入しやすくなる

”定職”という考えにこだわらずに、”アルバイト”副職、兼業と
いう見方をすると、地方には実に多くの仕事の場がありそうである

リスク管理のノウハウを収集したり伝承したりする、あるいは経験
するといったことが「よりよく生きる」社会では重要
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『兼業・兼居のすすめ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
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■目次■

第1章 3割“兼業”のすすめ
第2章 地方“兼居”のすすめ
第3章 「豊かさ」の終焉、「よりよく生きる」価値観への転換
第4章 「よりよく生きる」社会の設計原理
第5章 同時多発の社会構造改革
第6章 地方の「自助」メカニズムの創設
第7章 期待される団塊世代パワーの再登場
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