2006年4月28日

『ヤバい経済学』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313656
本日の一冊は、全米で100万部を突破した、話題の大ベストセラー
『Freakonomics』の待望の邦訳です。

※参考:『Freakonomics』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/006073132X

われわれ人間は、往々にして物事の因果関係を正しくとらえられず、
間違った通念を作り上げてしまいます。

また、それがたとえ聖職者であっても、自分に与えられたインセン
ティブによって、非道徳的な行動を繰り返してしまうのです。

本書は、シカゴ大学で経済学を教える「悪ガキ教授」スティーヴン
・D・レヴィットが、世の中のさまざまな事象を、「インセンティ
ブ」と「ロジカルシンキング」で分析した一冊。

世間一般のうさんくさい通念や常識を、経済学的思考でバッサリ斬
る、じつに痛快な一冊です。

著者のレヴィットは、世の中のダークサイドと、それを生み出して
しまう「インセンティブ」の問題に強い関心を持っているようで、
本書にも、「インセンティブ」がもたらす悲劇が多数紹介されていま
す。

レヴィットによれば、人間のインセンティブとなるのは、経済的、
社会的、そして道徳的の3つ。

なぜ、不動産屋は売り手に親切な仕事ができないのか、なぜ遅刻を
取り締まるため罰金を設けたら、遅刻が増大したのか、なぜ八百長
は起こってしまうのか…。

知的好奇心を刺激しまくる内容に、300ページのボリュームがまっ
たく気になりません。

今年上陸する翻訳書のなかでも、1、2を争う注目作です。
これはぜひ読んでおきましょう!

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■ 本日の赤ペンチェック
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◆90年代アメリカの犯罪率が激減した理由は「中絶の合法化」
犯罪に関する限り、子供は生まれつき平等ではない。というかまる
っきり違う。数十年にわたる研究によると、家庭環境の悪い子供は
そうでない子供に比べて罪を犯す可能性がずっと高い(中略)アメ
リカの犯罪の波をやっと抑え込んだのは、銃規制でも好景気でも新
しい取締まり戦略でもなかった

専門家も人間で、人間はインセンティブ(誘引)で動く。どんな専
門家でも、インセンティブがどういう形になっているかで、あなた
をどう扱うかが違ってくる

医者の商売でいうと、出生率が低下している地域の産婦人科医は出
生率が上昇している地域の産婦人科医より帝王切開を行う可能性が
ずっと高い。商売が厳しいとき、医者はアガリの大きい処置を取ろ
うとするみたいだ

インセンティブは現代の日常の礎である。そして、インセンティブ
を理解することが――おうおうにして壊してしまうことにもなるけ
れど――凶悪犯罪からスポーツの八百長、出会い系サイトまで、ど
んな問題もほとんど解決できる鍵になる

保育園の罰金制度にはもう一つ問題があった。道徳的インセンティ
ブ(遅れた親が感じる罪の意識)を経済的インセンティブ(罰金3
ドル)に置き換えてしまったのだ

データによれば、八百長報道のすぐ後に開かれた本場所では、7勝
7敗で千秋楽を迎えた力士の、8勝6敗の力士に対する勝率はいつ
もの80%ではなくただの50%だ。データをどういじっても出てくる
答えはいつも同じだ:相撲に八百長なんかないとはとても言い張れない

情報で武装した専門家は、そうは言わないかもしれないが、とてつ
もない武器を持っている。恐怖だ

ガルブレイスの見方によれば、通念は、単純で都合がよくて居心地
よさそうで、実際居心地がよくなければならない――正しいとは限
らないけれど

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『ヤバい経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
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■目次■

序章 あらゆるものの裏側
第1章 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?
第2章 ク・クラックス・クランと不動産屋さん、どこがおんなじ?
第3章 ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?
第4章 犯罪者はみんなどこへ消えた?
第5章 完璧な子育てとは?
第6章 完璧な子育て、その2

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