2006年3月12日

『悪魔のデータ操作術』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413035755
本日の一冊は、産業能率大学総合研究所の講師であり、心理学や統計学に詳しい著者が、作る側・読む側双方が気をつけるべき「統計の罠」について論じた一冊です。

ちょっと奇をてらったタイトルですが、中身はいたって真面目。なぜ客観的に見えるデータが間違いにつながるのか、なぜ人は騙されてしまうのか、統計学の見地から、丁寧に説明しています。

本格的に統計や社会調査を学びたい方には、やや物足りないかもしれませんが、一般向けにここまでわかりやすく、かつ要点を押さえた書籍は珍しいと思います。

データの正確な読み方を学びたい方はもちろん、調査によって統計上有意なデータを手に入れたい方にも有益。

読む人が読んだら、人間心理を操る強力な武器にもなりかねません。

この手の本を紹介する際には、必ずといって添えなければならない言葉ですが、使用する際は、くれぐれも良心に基づいてお願いします。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人は願望や欲が先行してしまうと、客観的判断がおろそかになってしまいます。また、その分野の知識を持ち合わせていないと論理的思考は働かず、直観的な思い込みで判断をしてしまいます

データに基づいて正確な判断をするためには、信頼性と妥当性のあるデータが求められます。そこから導き出された結論は、誰の先入観に犯されることなく、公正な判断を可能にします

誇張された表現、あいまいな表現、抽象的表現、美辞麗句などは、データで置き換えて考えるクセをつけてみる

◆統計への基本的な問い
1.誰がこの統計をつくったのか
2.なぜこの統計はつくられたのか
3.どのようにしてこの統計はつくられたのか

◆統計のウソを見破る五つのカギ
1.誰がそういっているのか?(統計の出所に注意)
2.どういう方法でわかったのか?(調査方法に注意)
3.足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)
4.いっていることが違ってやしないか?(問題のすりかえに注意)
5.意味があるかしら?(どこかおかしくないか?)

ランダムサンプリングの目的は標本を母集団と等質にすることであり、これはまともなデータをつくるための必須条件です

質問方法や回答方法はデータ操作をする格好の材料になる

いつ調査を実施するかによっても、回答は大きく変わってきます

相関で気をつけるべき点は、相関は因果関係を表すものではないということ

賭けに勝ち続けた人にとっては必勝法があるように見えても、大量の人が参加しているなら、それは誰かの身の上に必然的に起こること
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『悪魔のデータ操作術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413035755
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■目次■
第1章 いったいデータとは何なのか―その本質を知る
第2章 事実はなぜ操作されてしまうのか―やむにやまれぬその動機
第3章 まっとうなデータのつくり方―悪魔に魂を売り渡さないために
第4章 ウソつきデータとその手口―ダマし方を知ればダマされない!
第5章 データにダマされないための5カ条―データはあなたにウソをつく
第6章 グレーデータとの上手な付き合い方―データは生き物だと考えよう
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