2006年3月11日

『一兆円トレーダーに学ぶ投資の摂理』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492732128

本日の一冊は、かつて野村證券のトレーディング部門で活躍した著者が、その豊富な経験から、市場の原理と投資家の心構えについて論じた一冊です。

「大きく儲ける」ことを標榜した本ではないため、ちょっと地味な印象ではありますが、本来投資に大切なのはリスク・コントロール。

その点、本書は、ベテランの金融関係者らしい、現実的なアプローチで、いかにしてリスクを減らすか、大怪我しないようにするか、をテーマに論じられています。

後半部分で、著者個人の趣味的な話が増えたのが若干残念ですが、情報不足の個人投資家にマーケット事情を詳しく教えてくれる、という点ではなかなか好感の持てる一冊です。

自らの経験や周辺のエピソードも豊富に盛り込まれており、自分らしい投資スタイルを考える上で、参考になる一冊だと思います。

株式市場が過熱ぎみの今、個人投資家にはぜひ読んで欲しい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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マーケットにおける多数派の役割は、少数派に果実を運んでくるための、永遠のボランティア

投資の世界に身を置く人間が最初に学ぶことの一つは、投資において100%確実な物事がありえないということ

◆投資で大怪我をしないための約束事
1.成果やリターンを求めるなら、何らかのリスクを取らねばならない
2.情報の収集や分析および投資判断は、自分自身で行い、他人任せにしない
3.少数派の結果を求めるなら、日頃から少数派の行動を
4.長期的な視点に立ち、長期的なリターンを狙う

投資行動では、「買いや売り」が占める割合はほんのわずかです。重要な作業のほとんどが、投資家自身による事前の情報収集と分析になります。プロとアマの差は、このことを「理解」しているかどうかに尽きるといっても過言ではありません

自分自身の見通しには、ほとんどの場合、何らかのバイアスがかかっている

重要な情報に接したときは、その中身よりも、「この情報は、10人知っているだけなのか、100人なのか、あるいは1000人なのか」を最初に確認

最も気を付けなければいけないのは、自分自身のポジショントークです。相場が煮詰まってくると、不利な情報に耳をふさぎ、有利なものだけを頭に入れるようになります

投資とは、現在の業績の素晴らしさではなく、潜在的な成長性がより高い企業を、他の人より早く探し出すことが原点

経験豊富なプロほど、自分の苦手な分野を正確に認識します。そして、そこで取るリスクを極力小さくする工夫をするか、あるいは、お互いの弱点を補うために、チームを組みます

「自分の見通しに過信せず、かつ、固執しない」というスタンスは、相場の達人に共通するもの

◆銘柄選択の基準
1.財務分析によって、丸ごと買いたくなる企業
2.「浮き袋」と「気球」が付いている企業

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『一兆円トレーダーに学ぶ投資の摂理』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492732128
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■目次■
はじめに
第1章 投資の世界とは
第2章 「マーケットの神様」
第3章 リスクとリターンの関係
第4章 投資情報の収集および最終投資判断
第5章 多数派と少数派の関係
第6章 投資と時間の関係
第7章 未知なるものとの出会い
第8章 株式投資の基本的手順
第9章 株式以外の投資商品
第10章 ヘッジファンドを理解する
第11章 人生も相場
おわりに

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