2006年3月27日

『スピードに生きる』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408395889
本日の一冊は、「世界のホンダ」を創りあげた本田宗一郎が、大きく飛躍する前に書いた、初の自伝、および経営論です。

日本経済新聞社「私の履歴書」よりも前に書かれていたという幻の一冊で、早い時期に書かれた分だけ、気鋭の経営者、本田宗一郎の勢いと信念が伺える、力の入った一冊となっています。

相変わらずのざっくばらんな物言いで、モノづくりやマネジメントの「思想」を語っているのですが、そのどれもが「人間」を中心に置いた、興味深い主張となっています。

とくに資本の論理ばかりが優先される現代にあって、「資本は仕事と生産のために奉仕するものでなければならない」とした主張には、「世界のホンダ」の強さの本質を見た気がします。

モノづくりとは何か、経営とは何か、真の能率とは何か、そして経営者の責務とは何か。

切れ味鋭い主張と、その根底にある深い哲学が感じられる、そんな一冊です。ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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学問は学問、商売は商売と割り切っている人もいる。たしかにそういうこともいえるだろう。しかし、学問が根底にない商売は、一種の投機事業みたいなものでしかなく、真の商売を味わうことは不可能だといえないだろうか

人間、経験を積めば積むほど、あるいは本職になればなるほど、仕事そのものはむずかしくなってくる。そして真のエキスパートは、不可能の壁を打ち破るところに、無上の喜びをもつものではなかろうか

資本は目先に動かされやすい。わが社が今日を築き上げ得たのは、常に仕事を優先し、理論と時間とアイデアを尊重してきたからであって、この方針は将来も変更されるべきでない。資本は仕事と生産のために奉仕するものでなければならない

常に正しくあることこそ、自分をいちばん強くすることである。最後の勝利を決するものは正しいか否かということであって、強いか弱いかが勝敗を決するのではない

合理化の基本をなすものは人間のアイデアを中心としたものでなければならない

値段は需要と供給からくるものであって、原価計算とは関係がない

人間の力というものは、数学などのように割りきれるものでない。結局観察する目を養うことである。それがいちばん大事なことである

一人一人が働き甲斐のあるものにしてやることが能率の根本

経営者として最も大切なことは時代の趨勢を見通して会社の進路を定めることであるが、この判断の根底に、時代の要求を見抜く識見を必要とする。製品に時代の要求が加味されてはじめて商品となるのである

会社は大きくなるにつれて人間味を増加するようにしなければならない

美しく芸術的であってこそ、はじめて長い実用に耐えられる
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『スピードに生きる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408395889
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■目次■
序によせて
第一部 スピードに生きる
第二部 経営とアイデア
第三部 私の生き方・考え方
解説 前間孝則
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