2006年2月20日

『セブン-イレブンからヒット商品が生まれ続ける理由』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761263121
本日の一冊は、かつて商業界で取締役編集局長を務めた、流通業界の大御所、緒方知行さんが、大ヒットを続けるセブン-イレブンの商品開発にメスを入れた一冊です。

確かに、お弁当やおにぎりをはじめ、おでん、お菓子など、同社の商品開発手法には目を見張るものがあり、その秘密は誰もが知りたいところ。

本書では、その商品開発の秘密とこだわりについて、商品別に解説。後半では、それを可能とする仕組みについて、「イノベーション哲学」「単品管理」「ロジスティクスシステム」など、さまざまな点から説明しています。

もともと、小売りの現場はお客様に最も近い場所。そういう点で、流通現場からの商品開発が、現在最も注目を浴びています。

マーケティング情報の何に着目し、どうやって商品開発につなげていけばいいのか。商品開発のキモは一体どこにあるのか。

個人的にはもっと突っ込んで欲しかった部分もありますが、全体としては、セブン-イレブンの具体的な取り組みを丁寧に追い、その商品開発の秘密に迫った、なかなか読み応えのある一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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顧客のニーズを知るものが、市場のヘゲモニーをにぎる

「この時代、食うに困っている人がいるわけではない。需要がなくなったわけでもない。そして商品の価格だけがすべてではない。むしろいま重要なのは、お客さまの心を動かすような価値ある商品を開発し、提供することだ」(鈴木敏文)

安さが価値あるものとされるなかであえて高単価の商品を提案する

価格に見合った価値をお客に感じてもらう工夫をする
例)おにぎり(キングサーモン、いくら、和紙を使った高級包材)

たった一つの商品でも、誕生するまでにはさまざまなストーリーがある。それがこれまでになかった価値あるものならば、さまざまなストーリーをつむぎ出すことになり、その価値はお客の心に届く

他の追随、模倣ではない、新しい価値創造活動のためには、絶えざる仮説・実践・検証によった仕事への取り組みが求められる

お客の飽きと闘うために商品開発は年間スケジュールでする

「おでん」のポイントが味であることはいうまでもない。この味とは、単に舌で食べるだけではなく、目で、脳で、心理で食べるところに踏み込んでいるものである

価格は価値との関係でとらえられるものである。買い手が価値として評価しなければ、いくら安くしても受け入れてくれるものではない

注目すべきは、彼女たち(女性客)の滞店時間の長さである(中略)女性客の購買心理を調べてみると、おもしろいことに自分へのご褒美という心理が働くこともわかった

「これからは御用聞きの時代だ」(鈴木敏文)

POSデータは、単品の動向つまり買い手の価値評価の結果を示すものである。買い手のニーズが反映されてはいるが、1.マーケティングにとっての情報としては過去のものである 2.自分たちが店頭に品揃えして売っているものにかぎってしかデータは出てこない という限定条件のなかでとらえられなければならない

セブン-イレブンの商品開発力を支えているのは、この仮説・実践・検証をベースにした単品管理による店頭を通した顧客ニーズの把握
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『セブン-イレブンからヒット商品が生まれ続ける理由』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761263121
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■目次■
第1部 売れる商品開発の実践法
1.おにぎり 新市場の創造とニーズ変化への対応
2.弁当・惣菜 マンネリの打破による品質の追求
3.和菓子 既存のインフラを活用した品質提供
4.おでん(イセ食品) 買い手の心理への立脚と商品の相乗効果の追求
5.焼きたてパン(味の素) マーケティングによる先見性とその実現
6.まろやか酵母(キリンビール) インフラを有効に活用した商品開発
7.カップラーメン&カップ味噌汁(日清食品)
  品質の追求こそができる新需要の開拓
8.基礎化粧品(コーセー) 他ブランドをステップにした開発手法
9.化粧品シリーズ(資生堂・ロート製薬・マーナ)、インナーウ
  ェア(ワコール)
  女性が求める商品・売り場づくり
10.セブン・ミールサービス(ヤマト運輸)
  時代の読み方とニーズ対応の革新力
第2部 売れる商品開発の仕組みづくり
1.イノベーション哲学 お客の立場に立った価値の生産、配送、
  品揃え、販売
2.四つの課題解決 ビジネスに利点と矛盾を生む四つの課題
3.単品管理 店頭を通しての顧客ニーズの把握
4.マーケティング力 PBの商品開発は同質競争でなく価値訴求型
5.NDF 協働・協創力で支えられるベンダーシステム
6.ロジスティクスシステム コスト削減と商品開発を同時に実現
7.原材料調達 良質な原材料の調達・加工・配送の革新
8.生ごみ循環システム 環境問題とビジネスを両立させるシステム
9.OFCの店頭支援 生産・仕入れ・販売の距離をなくす
あとがき
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