2006年2月22日

『「社長の評判」で会社を伸ばす』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312507

本日の一冊は、世界で最も有名なPR会社のひとつ、バーソン・マ
ーステラ社の最高ナレッジ&リサーチ責任者が、CEOのPR価値
と、その活用法について論じた一冊です。

世界各国で行った、同社の「CEOレピュテーション調査」をもと
に、経営トップの評判と企業全体の業績の関係を明らかにし、さら
に名声を構築・維持する方法、それを業績と結びつける方法までを
指南しています。

メディアトレーニングなどを通じて数多くのCEOを見てきたPR
会社のプロフェッショナルだけに、そのアドバイスは的確。とくに
メディア露出に関する部分などは、なかなか参考になります。

ただ、リサーチに関しては、「ニワトリが先か、卵が先」かという
点が不明瞭で、かつ因果関係ではなく相関関係で語っている点から、
あまり説得力を持ちません。

むしろ、PR的視点からノウハウ的にまとめてもらった方が読み応
えがあったかもしれません。正直、期待外れです。

とは言え、アメリカの名経営者たちが、自分の評判を高めるために
何をしたのか、というエピソード・事例は楽しく読めます。

経営者のPRへの意識を啓蒙する、という意味では、読む価値のあ
る一冊かもしれません。

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■ 本日の赤ペンチェック
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1999年のバーソン・マーステラが行なった調査では、あるCE
Oの評判が他のCEOたちの間で10パーセント上昇すると、その
企業の時価総額は24パーセント上昇した

サウスウエスト航空の前CEOハーブ・ケレハーやアップル・コン
ピュータのスティーブ・ジョブズなど、人を惹き付け、インスピレ
ーションを与えるようなCEOは、コミュニケーション下手なCE
Oよりもメディアに取り上げられやすい

◆CEOの名声を築くのに寄与している5つの要素
1.信頼性 2.倫理規定と行動 3.社内とのコミュニケーション
4.経営チームの構築と質の確保 5.社員の動機付け

CEOの倫理的行動は、名声を決定づける要素としては1997年
の調査では6位だったのが、2001年には最上位に位置づけられてい

メディアへの対応のしかたの訓練、有力なアナリストや上客への自
己紹介、公の場で発言する仕事を少しずつ増やしていくことによっ
て、CEOは職責に圧倒されることなく、スムーズかつ効率よく仕
事に入っていくことができる

スティーブ・ジョブズは、彼のアップルへの復帰が正しい選択であ
り、彼こそがアップルを復活させるにふさわしいリーダーであるこ
とを証明する早期の成果を探してまわった

もしCEOが大人数を前にして準備した原稿で格式張ったスピーチ
をするのが苦手なら、少人数での質疑応答形式のセッションなど、
もっと親しみやすいアプローチをとってもよい

象徴的な行動は大きなインパクトを持つので、もしうまく練り上げ
れば、社員の心に訴えかける非常に効果的なツールになる

3Mは、物語る技術をマスターするよう幹部たちにトレーニングを
施している

CEOは人々を鼓舞し、注意を集めるために、正しい言葉と比喩――
情熱にあふれ、説得力があり、目的に狙いを絞った言葉と比喩を使
うべきである

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『「社長の評判」で会社を伸ばす』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312507
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■目次■

はじめに
第I部 CEOキャピタル
第1章 CEO効果
第2章 CEOの評判への投資
第3章 CEOキャピタルをいかに築くか
第II部 CEOキャピタルを築く
第4章 カウントダウン
第5章 最初の100日
第6章 就任一年目
第7章 ターニングポイント
第8章 ビジョンの修正と改革
第III部 これからのCEO
第9章 はるかなる地平線の向こうへ
訳者あとがき

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