2006年1月18日

『退職金、黙っていてはもらえない!』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569647774
本日の一冊は、自らが退職金で苦い経験をし、大学院で退職金研究。現在は、社会保険労務士として、企業や個人に対し、退職金のアドバイスをしているという著者が、知られざる退職金トラブルの実態を明らかにした、注目の一冊です。

自分の上司が約4000万円もらっていたにもかかわらず、自らはたった40万円しか受け取れなかったという著者、401kで退職金を塩漬けにされてしまい、自己破産寸前の落合さん(仮名)、多く振り込まれたと思っていたら、本当は少なかったという青木さん(仮名)…。

いくつかのトラブル事例を挙げながら、退職金制度の抱える本質的問題にまで切り込んでいる点は、類書にない魅力でしょう。

受け取る側の視点から見ても、これ以上ないと思うほど、わかりやすく書かれています。

支払う経営者の側からすれば、退職金をきっかけに、雇用や報酬制度を見直す、いいきっかけになると思われます。

退職金がもらえるかどうかわからない、いま辞めたらいくらもらえるのかはっきりしない、という方は、いますぐ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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401kは、六〇歳までお金が受け取れない退職金の前払い制度

401kが導入されていた会社を辞めて転職した場合、原則として、転職先に401k制度がなければ「サラリーマンが加入する個人型」に加入できることになっている。しかし、転職先に別の企業年金制度(厚生年金基金など)があると、「個人型」には追加の拠出ができない

そもそも退職金とは、法律的に支払いを義務づけられているものではない

就業規則(退職金規程)を意図的に社員に公開していない会社が多いことも事実である。しかし後々のトラブルを避けるためには、規程の確認を行うことが重要

就業規則などに明文化されていなくても、明確な基準に基づき退職金が支払われていて、退職金支払いの慣行が確立しているとみられる場合には、会社は退職金の支払いの義務を負う

「退職金」とは、そもそも任意の制度ではあるが、一度制度を作ってしまうと社員の権利として確定してしまう(労働契約の一部となる)

(退職金の支払いは)就業規則(退職金規程)に特段の定めがない場合には、原則の七日以内というのが適用される

退職金を請求する権利の時効は五年

◆退職金規程と厚生年金基金の関係
・「内枠」である場合には、「厚生年金基金」から支払われる額は、「退職金規程」の一部分とみなされる
・「外枠」である場合には、「厚生年金基金」とは別に、「退職金規程」からの給付も受けることができる。つまり、両方からもらえる

◆退職金の計算方法
1.給与の何倍型(退職金=退職時の給与×勤続年数ごとの倍率)
2.明朗会計型(退職金=単価×勤続年数)
3.表計算型(「勤続年数(縦軸)」と「評価基準(横軸)」のマ
  トリックスで退職金の金額を計算)
4.マイレージ型(勤続年数や資格等級など、あらかじめ定められ
  た基準によって各社員に毎年にポイントを付与)

「ない袖は振れぬ」なんて言葉があるが、あなたがどんなに退職金の金額をしっかり計算したとしても、会社がちゃんとその金額を準備しているかどうかは、別問題

退職金に依存した「人生設計」は非常に危険である
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『退職金、黙っていてはもらえない!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569647774
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■目次■
プロローグ――私の退職金物語
第1章 すべて実例! 退職金トラブルの現場から
第2章 こんな社長がトラブルを連れてくる
第3章 あなたの「退職金トラブル」の処方箋
~絶対に知っておかなければならない3つのポイント~
第4章 いよいよ退職金の「三段ロケット」が切り離される
エピローグ ~そして退職金がなくなる日~
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