2006年1月5日

『とげぬき地蔵商店街の経済学』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532193249

本日の一冊は、「とげぬき地蔵」で有名な、東京・巣鴨の「巣鴨地蔵通商店街」の研究本です。

ご存知の方も多いと思いますが、この地蔵通商店街は、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれるほどのシニア集客力を持ち、衣料品から食品、グッズにいたるまで、じつに個性的な商店が軒を連ねています。

実際、土井も以前に訪れた際、「シニアビジネスのヒントはすべてここにある」と感じたほどです。

本書は、その地蔵通商店街の活動内容や、集客・接客の秘密を、元・長銀総合研究所の理事長で、現在・竹内経済工房を主宰する著者が、取材をもとに明らかにしたものです。

銀行出身の著者らしく、冒頭は、巣鴨信用金庫理事長の田村和久さんとの対談。数多くの商店を支援している銀行サイドからの冷静な視点も交えながら、シニアに受ける秘訣を分析しています。

決して成功しているとは言い難いものを成功事例として取り上げたり、必ずしも分析が的を射ているとは言えない部分もありますが、事実をきちんと書いているだけに、参考になります。

シニアビジネスや、商店街の活性化に関心のある方、また小売ビジネスのヒントを学びたい方には、おすすめの読み物です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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女性がシングルになると、ライフスタイルはガラリと変わる。ちょうど、大学生が初めて一人暮らしを始めた時のように、友人と旅行に出かけ、趣味三昧に生きるようになる

「お地蔵様にお参り」するための外出なら、自分にも周囲にも納得できる正当な理由になる

きれいな街は、ひと目で何がどこにあるか分かるので、一度行けば満足してしまい、何度も行く気が起きない。また、きれいだからといって購買意欲が高まるわけでもない

シニア相手のビジネスの場合は、いったん顧客から「話せる相手」と認められれば、その信頼は継続しやすい

接客する時には、いちいち、みやげ用か自分用か、送るのか持ち帰るのか、包み方はどうするなど丁寧に聞く。親切に扱われているという満足感を与えると同時に、記憶力や判断力の低下を販売員が質問することで補うことも重要なポイント

◆地蔵通り商店街の特徴(気配り)
・シニアのために椅子を置いている店が多い
・忘れ物対策
・改装や陳列場所の変更を極力避ける
・読みづらい英語表記やカタカナ表記を避ける

シニアたちには、若い世代と交流する機会がなくなった。だからこそ同店の若い販売員が人気者になる

段ボールを利用した陳列は、安さをセールスポイントにする店であることを分かりやすく宣伝できる一種の看板

買い物の最大の楽しみは、「気に入った商品を探すこと」だ

(シニアは)お金持だけど安いモノ好き

人気がある街は、いずれも寄り道する場所が豊富であり、かつ回遊性がある
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『とげぬき地蔵商店街の経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532193249
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■目次■
なぜ今、地蔵通り商店街なのか――田村和久vs.竹内宏
第1部 花開くシニアの時代
 第1章 価値観もライフスタイルも変わった
 第2章 「おばあちゃんの原宿」に通う人々
第2部 「シニア攻略」12の法則
 法則1 聞き上手が客の心をつかむ
 法則2 商店街に溢れるもてなしの心
 法則3 シニア販売員の中に若者を一人入れる
 法則4 「懐かしさ」を演出する
 法則5 「秩序ある雑然」のすすめ
 法則6 体力に見合った回遊性を持たせる
 法則7 群れるスペースづくり
 法則8 お金持ちだけど安いモノ好き
 法則9 「健康」と「コミュニケーション」が二大ニーズ
 法則10 不安解消と御利益のPRも忘れない
 法則11 生活に溶け込む「信仰の場」づくり
 法則12 「ハレ」と「ケ」の中間がシニアを招く
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