2006年1月4日

『「抜く」技術』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476319657X

本日の一冊は、注目の次世代エネルギー「海洋温度差発電」の世界的権威であり、政財界のトップから絶大な支持を受ける「成長の原理」の伝道者でもある、上原春男さんによる一冊です。

今回のテーマは、「抜く技術」ですが、著者によると、「「抜く」をキーワードにさまざまな分野を見渡してみると、その技術や発想は、芸術からビジネスまであらゆるものに広く応用されて」いるそうです。

本書では、実際に各分野で「抜く」技術がどのように活用されているかを概観し、その要諦と、職業人が持つべき心構えについて触れられています。

蒸気機関を発明したワットや、水害防止と水利を兼ねた「石井樋」を作った成富兵庫など、豊富なエピソードを読んで楽しめるのはもちろんですが、読みどころは、やはり著者独特の凝縮された教訓。

人生をより良く生きるための心構えでありながら、マネジメントや交渉、商品開発のヒントでもあるという深遠な教訓は、ビジネスパーソンにとって必読です。

「抜く技術」というテーマが若干地味ではありますが、必ずや何らかの気づきが得られる一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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押す力を最大に得るためには、そこに力を抜くという逆の要素を活用することが必要

「安全なもの」「丈夫なもの」には、かならずあそびというすき間が用意されているもの

美の要諦は抜くことにあり。いかに省くか、力みを捨てるか

向こうの押す力に、こちらも押す力で対抗すると、事をこじらせてしまいます。こういうときは無理に押し返さないで、いったん引くことが肝要

引くことは相手の能力を引き出すことにもつながります。上司が命令を下す、つまり押すばかりでは、部下は言われたことしかこなしません。しかし、上司が引いて、部下に仕事をまかせれば、彼らのもっている力を引き出すことができるのです

いかに加えるかではなく、いかに抜くか――換言すれば、「足りない」のではなく「よけいなものが多くないか」と考えること。それが抜く技術の要諦です

抜くことは大事だが、抜きっぱなしではダメ(中略)抜いたエネルギーを有効利用する仕組みをきちんと用意しておく

社会の現象はすべて非線形であり、単純な足し算や定理で説明できるものではありません(中略)世の中は「生きている」のです。それだけに、そこに生きる私たちも固定観念に縛られず、常識や前提にとらわれない非線形思考をすることが、「生きやすさ」につながる

忙しいと称する人の大半は時間の使い方が下手でムダが多い(中略)なぜムダが多くなるか。力の抜き方が下手なのです

いかに言葉をつなげるかではなく、いかに言葉を区切るか。饒舌よりは、省略や凝縮という「引き算」が話や文章を効果的にする

逆風期にあってこそ、「引く力」を忘れるな

自分を後回しにできる人がいちばん強い
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『「抜く」技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476319657X
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■目次■
はじめに
第1章 「抜き」の効用に気づく
第2章 「力み」を抜いて生きる
第3章 「捨てる」側から発想する
第4章 適度な「抜き」のバランスが人間関係を自在にする
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