2005年12月17日

『目標を突破する実践プロジェクトマネジメント』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4806123315

本日の一冊は、日本TOC推進協議会の理事、岸良裕司さんが、プロジェクトの達成をさまたげる要因を明らかにし、その解決法を示した一冊です。

これまでにもプロジェクトマネジメントに関する本はいくつも出ていましたが、本書の最大の特徴は、とにかく「わかりやすい」点。

図やイラスト、カラーをふんだんに使い、見た目にも読みやすい本ですが、それ以上に要点が絞り込まれており、内容が明確です。

「納期が遅れる6つの理由」「納期厳守の鉄則」「継続的改善のための5ステップ」など、さまざまなプロジェクトに共通する問題点、指針を明快に示した点は、類書にない魅力でしょう。

ここで示されている原則と作業手順、改善のステップは、大掛かりな生産工程やシステム構築に関わらず、あらゆることに応用可能です。

「ゆとり時間を増やして、より生産的なことに使いたい」という方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆納期が遅れる6つの理由
1.余裕をみた納期 
2.予算と時間をあるだけ使う
3.一夜漬け(学生症候群) 
4.遅れは伝播する
5.早く終わっても報告しない 
6.作業の掛け持ち

従属性を持つシステムは、統計的な変動といつ起こるかわからない突然のトラブルという変動性により混乱をきたします

遅れは必ず次の工程に伝播するのに、早く終わってもそれは伝播しない

人は問題が発生すると「妥協」の道を探ろうとします。しかしTOCでは問題を対立そのものととらえ、根本的に解決できる、要するに「そもそも対立というものは存在しない」と考えます

辣腕のプロジェクトマネジャーは、コスト削減よりも、少々多くお金を支払ってでも、段取りと作業の質を改善して、プロジェクト工期を短縮し、早期完了をめざし、結果的に利益を出す

◆プロジェクトの達人による「納期厳守の鉄則」
1.現場担当にはサバは読ませない 
2.サバは親方が管理する
3.1つの仕事に集中する 
4.タイミングを見て施工を進める
5.現場でのゼニ勘定を忘れない 
6.重要な工程に集中する

◆辣腕親方の工程表の作り方
Step1 リソースの重複をなくす
Step2 サバ取り
Step3 各タスクから出てきたバッファをまとめて親方に渡す
Step4 納期を決める

進捗率で管理される限り、人は「進捗率を稼ぐためにどうすればよいか」という基準で行動する(中略)作業担当者に「あと何日?」と質問するのだ。一見単純でかんたんすぎる解決策だが効果は絶大だ

◆プロジェクトの目標を詳細かつ正確に設定するためのやり方(ODSC)
1.目的(Objective) 
2.成果物(Deliverables)
3.成功基準(Success Criteria)

◆TOCの継続的改善のための5ステップ
1.制約を見つける 
2.制約を徹底活用する
3.制約以外を制約に従属させる 
4.制約を強化する
5.惰性に気をつけながら1に戻る

◆「プロジェクトにとっては最適であるが、会社全体にとっての最適化はそこなわれてしまう」状態を防ぐための考え方
1.タスクを明確にしてから
2.社内の最適なリソースをタスクの作業内容に応じて割り当てる
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『目標を突破する実践プロジェクトマネジメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4806123315
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■目次■
Part1 プロジェクトが遅れるわけ
Part2 科学的サバ取り段取りと親方バッファ
Part3 「あと何日」の進捗管理
Part4 【実践編】実践的工程表の引き方「科学的段取り八分」
Part5 マルチプロジェクトマネジメントの極意は「経営」そのもの
Part6 TOCを使えば「当たり前のこと」ができるようになる
Part7 事例紹介
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