2005年12月2日

『子どもを狙え!』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757211902

本日の一冊は、ボストンカレッジ社会学部の教授であり、消費者問題や家族問題に詳しい著者が、キッズマーケティングの最新動向と、それが子どもに与える影響を明らかにした注目の書です。

著者によると、近年、子どもたちはますます消費社会に取り込まれるようになっており、消費金額も異常に増えてきています。

具体的には、1989年の1年間でショッピングに費やした額が61億ドル、それに対し、13年後の2002年には、何と300億ドルに跳ね上がっています。

また、子どもが大人の購買に与える影響も甚大で、ある企業によると、車の購入に関しては、子どもが67%の影響を与えているそうです。

こうした動きを受け(動き自体、作られたという話もありますが)、マーケターや広告代理店は、ターゲットを子どもに絞り、さらなる取り込み作戦を展開しているのです。

本書では、アメリカで実際にどんな取り組みがなされてきたのか、どの企業がどんなキャンペーンを仕掛け、その結果、そうなったのかを、事細かに述べています。

どちらかと言うと、キッズマーケティングの実態と、その悪影響を論じた本で、なかにはちょっと行き過ぎと思われる批判もあります。

ただ、マーケティングが社会に与える影響の大きさと、それに伴う責任について考察するには、いいきっかけではないでしょうか。

マーケターの方々はぜひ、読んでみてくださいね。
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■ 本日の赤ペンチェック
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1920年代には子ども商品の購入には母親が主導権を持っており、広告はまず母親を説得しなければならなかったが、その後マーケティングと広告は、時には親の意向に反して、子どもに直接働きかけるようになり、子ども自身が自律し権限を備えた消費者へと変質していった。そして今では、子どもと企業が共同戦線を張り、おとなを説得して金を使わせようとする

企業は親のいない環境、たとえば学校やインターネットのなかで、ターゲットの子どもに狙いを定める

消費文化との関わりが深まるほど、うつ、不安、自己評価の低下、心身症など、人格に障害をきたす場合が多い

業界あげてリサーチに勢力を注いだこともあって、子ども市場に関する専門知識は飛躍的に向上した。各企業とも、実地調査・世論調査などのリサーチのスキルを開発し、文化人類学的な手段を用いて、子どもたちの日常生活の細部にたちいって精査する(中略)リサーチャーはスポーツのコーチや聖職者やユースワーカーなど、子どもが信頼しているおとなに報酬を払い、情報を収集する

子どもと過ごす時間がなくなればなくなるだけ、親はますます子どものためにお金を使うようになり、こうした家庭はまさに広告の餌食となる。これは子どもに時間が割けない親が覚える罪の意識の代償であり、業界はこれを「贖罪の金」と呼ぶ

リーボック社がスニーカーのトラックスターを発売したときには、「卓越性」というメッセージ性を打ち出し、「ぼくはトラックスターを持っているけど、君は持っていないの?」というコピーで若者たちに訴えた。その結果、相当に高い価格をつけたにもかかわらず、この部門でベストセラーのトップに躍りでる

「年齢差の圧縮」手法
本来は年上の子ども向けだった商品や広告を、年下に対象を移すこと

マクドナルドの「ハッピーミール」企画景品に写真やパズル、ゲームなどをつけて、「遊びながら夕食がとれる」キャンペーンを展開し、大成功を収めた

「すべてを玩具に」手法
バンドエイド、学用品、ジーンズ、ソックス、スナック菓子など

学校推薦のソフトドリンクを生徒に飲ませようとする圧力はやまず、アリッサ・クアート記者が「ニューヨークタイムズ」に書いた記事によると、あるテキサスの学校では、学校がスポンサーになっている飲料以外は、飲むことを禁じているという

リーバイスは子どものクローゼットをのぞき込んだだけではない。子どもを公式コンサルタントとして雇い入れるという画期的な方法を採用した

1996年と97年に製作された200本の大衆映画のうち、90%にアルコールとタバコが登場し、違法ドラッグは22%の映画で扱われている
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『子どもを狙え!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757211902
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■目次■
一章 マーケットに呑みこまれていく子どもたち
二章 変化しつづける子どもの消費環境
三章 子ども向けCMのメッセージを読み解く
四章 増殖するコマーシャル・ウイルス
五章 公立学校の営利化が招く危機
六章 消費者としての子どもを解剖する
七章 ジャンクフード、麻薬、暴力
八章 消費文化が子どもの幸せを奪う
九章 子どもの自律性をどう育てていくか
一〇章 子どもをマーケットから守るために
訳者あとがき
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