2005年11月22日

『株式投資の未来』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244571

本日の一冊は、株式長期投資の名著として名高い、『Stocks for the Long Run』の著者、ジェレミー・シーゲルによる待望の新刊です。

著者は、前著で、「期間を長くとれば、株式投資のリターンは債券を上回る。しかも、インフレを考慮すれば、リスクも債券より低くなる」という調査結果を示し、投資家に絶大な影響を与えました。

今回の著書では、その長期投資に値する銘柄をどうやって見つけるべきか、という点を詳しく書いています。

いくつか例を挙げれば、現在、IT企業や新規公開株を中心に、株式投資熱が高まっていますが、著者によれば、本当に高いリターンをもたらすのは、話題性のない、斜陽業界です。

また、われわれは、設備投資に熱心な企業が成長著しく、やがて大きなリターンをもたらしてくれるものと考えていますが、事実はそうではないようです。

このような思い込みを避けるには、一体どうしたらよいのでしょうか。

そのためには、本書を読み、株式投資に関するさまざまな要因と、リターンとの関係を正しく理解するのが近道です。

本書を読めば、なぜウォーレン・バフェットが世界一の投資家になり得たのか、その理由がわずかながら見えてくる気がします。

プロ・アマを問わず、すべての投資家におすすめしたい、じつに読み応えのある一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人口トレンドは経済にとっても投資家にとっても決定的な意味を持つ

株式投資のリターンを左右するのは、企業の増益率ではなく、実際の増益率が投資家の期待を上回るかどうか、この一点にかかっている

S&P500の当初採用銘柄のリターンは、更新を繰り返す実際のS&P500のリターンを上回り、しかも、リスクが低い

長期投資家の立場からみて、リターンの最大の源泉となるのは、配当

フィリップ・モリスにかぎらず、運用成績上位グループには、強力なブランドを持つ企業が多い

運用成績が際立って高い企業はたいてい、1.PERが市場平均をわずかに上回る程度で、2.配当利回りが市場平均並みで、ただし、3.長期的な増益率が市場平均を大幅に上回っている

長期的に低迷する業界はときに、株主に際立ったリターンをもたらす

◆バブルの教訓
1.バリュエーションはいつも重要
2.買った銘柄に惚れ込んではいけない
3.時価総額が大きく、知名度の低い銘柄は要注意
4.三桁のPERは避ける
5.バブルで空売りは禁物

33年間のうち29年間で、IPOポートフォリオのリターンは、上場月月末価格ベースでも、公募価格ベースでも、小型株指数のリターンを下回っている

歴史をひもとくかぎり、発明に資金を提供する役割は、他人に任せておくほうがよさそうだ。画期的だからといって、儲かるとはかぎらない

超優良企業では、技術は補佐的な役割を果たしている。会社の中核的能力を補完する役割だ

市場全体が下落する局面ではたいてい、配当が減少する以上に株価が大幅に下落する。そうなれば、配当利回りが上昇する。配当利回りが上昇すれば、リターンもいずれ上昇する

個別銘柄の選択にあたっては、持続可能なペースでキャッシュフローを生成し、それを配当として株主に還元する銘柄を選ぶ
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『株式投資の未来』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244571
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■目次■
第1部 成長の罠を暴く
 第1章 成長の罠
 第2章 創造的な破壊か、創造の破壊か?
 第3章 時に裏打ちされた価値――「黄金銘柄」を探して
 第4章 成長すなわちリターンではない――成長セクター投資に潜む罠

第2部 成長株への過大評価
 第5章 バブルの罠―市場の多幸症をどう止め、どう避けるか
 第6章 新興の中の新興に投資する―新規公開株(IPO)
 第7章 資本を食う豚―生産性の源泉にして価値の破壊者「テクノロジー」
 第8章 生産性と収益―負け組業界の勝ち組経営陣

第3部 株主価値の源泉
 第9章 ショー・ミー・ザ・マネー―配当とリターンと企業統治
 第10章 配当再投資―下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル
 第11章 利益―株主リターンの源泉

第4部 高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト
 第12章 過去は未来のプロローグか―株式の過去と未来
 第13章 変えられない将来―目前に迫る高齢化の波
 第14章 高齢化の波を乗り越える―役に立つ政策、立たない政策
 第15章 グローバル・ソリューション―真のニューエコノノミー

第5部 ポートフォリオ戦略
 第16章 世界市場と国際ポートフォリオ
 第17章 未来に向けた戦略―D-I-V指針(最強ポートフォリオ)
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