2005年11月17日

『ザ・サーチ グーグルが世界を変えた』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244873

本日の一冊は、雑誌「ワイアード」の共同創刊者であり、米国の人気コラムニスト、ジョン・バッテルによる、注目の論考です。

世界で最も注目されるIT企業、グーグルとその周辺を描きながら、検索エンジンの未来と、それが人類の社会に与える影響について、興味深い議論を展開しています。

著者が指摘している通り、検索エンジンの持つデータは、マーケティングの貴重な情報源であり、また人類の文化や思想を読み解く上で、極めて重要なヒントです。

「人間を極める」という、人類の永遠のテーマと、それに迫る検索エンジンの知的なおもしろさが、本書の最大の読みどころではないでしょうか。

ありがちな「インターネットビジネスの歴史」に多くの紙数が割かれているのが残念ではありますが、基本的には、知的刺激にあふれた、読み応えのある一冊です。

インターネットビジネスに携わる方、コンテンツビジネスに携わる方は、読んでおいた方がいいと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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グーグルはわたしたちの文化の動向を探っているだけでなく、その文化の神経組織の奥深くまで潜入している

グーグルがマーケットリサーチ会社を立ち上げれば、顧客が何を買い、何を探しているか、あるいは買いたくないのかを、正確にクライアントに報告できるのではないだろうか

検索エンジンの未来はたんにものを発見することではなく、むしろものを理解することにかかっている(コンピュータ科学者 ダニー・ヒルズ)

◆ピューインターネット&アメリカンライフプロジェクトの調査
・ある一日で3800万人が検索エンジンを操作している。これを、一ヶ月で計算すればほとんど40億件のクエリーをかけていることになる
・一般に若ければ若いほど、また教育水準が高いほど、検索をする

◆ハイパージェフリー投資銀行による調査
・検索の20%は催し物などのエンターテイメント情報
・検索の25%は地元の情報

どのようなオンラインビジネスにとっても、「未分化」のトラフィックはほとんど価値がなく、特別なトラフィックつまり「企業の商品やサービスと連動して行動する意志を持った」トラフィックなら、大変な価値がある。そしてこのような適切なトラフィックには、企業は相当額を支払うということにグロス(ゴートゥー・ドットコムの創業者)は気づいた

キャンディマーケットでの経験から、グロスは多くのことを学んだ。まず一番重要な教訓は、需要が多く需給がアンバランスな市場では、供給サイドのほうが儲かるということ。次にわずかな金額の取引でも、量が多ければ儲けは大きくなることだ。最後にグロスはこの経験を通して、起業家としてのセンスを養い、その感覚を失うことはなかった

ページの右側にリストアップされている「検索結果の広告」は、グーグルよりもヤフーのほうが、検索されることが多い

間違いなくグーグルは大手メディア企業である。これまでの業績と最近の動向を考慮すると、将来はメディア業界にさらに強力な地歩を築くのは確実である

恣意的な質問に回答できるようなコンピュータはまだ存在しないが、日常生活、なかでもビジネスに関わる現実的な質問に回答する能力には、目覚しいものがあるかもしれない
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『ザ・サーチ グーグルが世界を変えた』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244873
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■目次■
第1章 意志あるデータベース
第2章 検索のイロハ~五つのW、ひとつのH
第3章 グーグル以前の検索
第4章 グーグル誕生
第5章 一回五セントで一〇億ドル~インターネットが産んだ金の卵
第6章 グーグル二〇〇〇~二〇〇四~五年で三〇億ドル企業へ
第7章 サーチ・エコノミー
第8章 検索とプライバシー
第9章 グーグル、満を持して上場
第10章 グーグルの今日と明日
第11章 完全なる検索
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
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