2005年10月11日

『コンテンツビジネス・マネジメント』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492270434

本日の一冊は、日米で活躍する国際弁護士が、コンテンツビジネスの最新トレンドと、著作権にからむ諸問題をわかりやすく解説した、コンテンツビジネスの入門書です。

「宇宙戦艦ヤマト」や「キャンディキャンディ」「リネージュ」などの実例をもとに、知的財産権で押さえておきたいポイントをコンパクトにまとめており、要点を知るには手っ取り早い一冊です。

コンテンツビジネスの要諦は、シングルソース、マルチユース(要は使いまわし)にありますが、本書では、原作を翻訳、編曲、変形した場合の著作権についても、詳しく論じています。

さらに、最近注目されるP2P、コピーコントロールCDなどのトピックについても、論点をきちんと整理してくれています。

また、トラブルを未然に防ぐための方策や、契約書の例なども載せているので、実務上も役に立つ一冊だと思います。

コンテンツビジネスに携わる方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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作品のリメイクや商品化等、コンテンツの一時的使用については、共同著作者全員の同意が必要

◆法人が職務著作の著作者となるための要件
1.法人等の業務に従事する者が作成する著作物であること
2.法人等の発意に基づいて職務上作成する著作物であること
3.法人等が自己の著作の名のもとに公表する著作物であること
4.著作物の作成時の契約等において個人の著作とする等の別段の定めがないこと

実は、わが国の著作権法はパロディを許容する規定を有していません。そのため、パロディが二次的著作物ということになると、そこにはオリジナルのコンテンツの著作権者の複製権の問題や、著作者の人格権の問題が関わってくる

赤い楕円模様の「三越」の包装紙は、もともと抽象画であったものを包装紙として使っているので著作権がありますが、バラの模様を描いた「高島屋」の包装紙は、もとから実用品なので著作権がない

時代はコンテンツの証券化に向かっている
→アドバンスマネーの魅力

◆2004年11月12日ライブドア事件
コメントやトラックバックについてはライブドアがユーザーへの通知なしに無償で利用できること、ユーザーはライブドアに対して著作権等を行使しないことを内容とする改正を施し、多くのユーザーからひんしゅくを買った

◆コンテンツを海外展開する場合の注意点
著作者人格権は、わが国では当たり前の権利と考えられていますが、海外では必ずしもこれが当てはまらない

各国の著作権法の規定は様々であり、コンテンツをインターネットへアップロードする行為を違法行為と捉えていない法制もあります

◆全米で大きな議論となった著作権延長法
ミッキーマウスや1920年代に発表された名作の著作権が切れそうになるたびに著作権を延長してきたので、今回の著作権延長法や、あるいはアメリカの著作権法全体が「ミッキーマウス保護法」と揶揄される
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『コンテンツビジネス・マネジメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492270434
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■目次■
はしがき
第1章 「ヤマト」は誰のものか コンテンツの「帰属」の問題
第2章 買ったソフトは誰のもの? コンテンツの「流通」の問題
第3章 パロディはどこまで許されるか? コンテンツと「模倣」の問題
第4章 アイドルに出資する コンテンツの「資金調達」の問題
第5章 あなたの日記がお金になる? コンテンツと「起業」の問題
第6章 蘇生を続けるキラーコンテンツ コンテンツと「利用」の問題
第7章 ファイル交換の憂鬱 コンテンツの「保護」の問題
第8章 もうひとりのウルトラマン コンテンツと「国境」の問題
第9章 ミッキーマウスよ永遠に コンテンツの「保護期間」の問題
第10章 コンテンツとデジタル化の潮流 コンテンツと「新技術」の問題
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