2005年8月27日

『リーダーの易経』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644996

本日の一冊は、中国最古の古典である『易経』の研究家であり、NHK文化センター「易経」講師。名古屋の財界に強力な人脈を持つ著者が、初めて書き下ろした、易経の入門書です。

易経は、時の変化の原理原則を説いたもので、あらゆる事物の変化に対応する普遍的な内容ですが、そのなかから古来より帝王学として学ばれてきた「龍の話」を中心に、リーダーがいかにして成長すべきか、について解説したのがこの本です。

内容は、この龍の成長段階である「潜龍」「見龍」「君子終日乾乾す」「躍龍」「飛龍」「亢龍」をそれぞれ解説し、リーダーの心構えや考え方を示したもので、いち経営者として見る限り、じつに有用です。

自らの志を忘れないこと、謙虚に学ぶことの必要性、そして人と和することの重要性を改めて教えてくれる、そんな一冊です。

責任ある立場にある方、これからそうなろうと考えている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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時を把握する洞察力と、吉凶の兆しを察する直観力をあえて養わなければ、リーダーの役目は果たせない

◆龍の成長過程(正しくは乾為天における時の変遷の概略)

・第一段階 「潜龍」――変化の始まり
受け入れはしても用いてはならない。重用したり、責任を持たせてはならないまずは志ありき。潜龍の時は大志を抱き、培う時
潜龍の時にどのくらいの志を抱くかによって、どのくらいの働きをするリーダーになるかが決まってしまいます

・第二段階 「見龍」――目が開かれる時
どんなにすぐれた能力や才能があっても、それを見出し、世に引き上げる力が働かなければ、日の目を見ることはありません
「学ぶ」は古くから「まねぶ」と読み、「学はまねぶなり」といいます。学ぶとは、真似ること。どんなものでも、学びの始めは見様見真似です

・第三段階 「君子終日乾乾す」――道を反復する
この時にどんな努力をし、何を身につけるかによって、成長が止まってしまうか、将来リーダーを務められるかどうかの分かれ道もっとも大切なことは、一日を省みる、反省を習慣化すること

・第四段階 「躍龍」――自ら試みる時
飛龍になるには、実力や才能に加え、「時」を、つまり好機をとらえなければなりません
時の的を射るためには、「機」と「期」と「気」を観る

・第五段階 「飛龍」――変化を起こす
飛龍は潜龍時代から抱いてきた志を達成し、これまで身につけてきた特質や能力を発揮して、君子、リーダーとして社会に貢献する時リーダーの本来の役目は、あらゆる人やものごとのそれぞれの特性や個性を生かし、育てること
どんなものごとでも、成り立つためには、人が求め合う、応じ合うという関係が必要です。飛龍は、雲と共にいなければならない存在であって、雲がいなければ、皆が助けてくれなければ、飛龍としての役割を果たすことはできない

・第六段階 「亢龍」――平らかなものは必ず傾く
後悔して地位を退き、かたちを変える以外には、道がない

窮まれば変ず:物事は極まった瞬間に新たな変化の兆しが生じる

陰の力なくしては、陽の力を正しく伸ばすことはできません
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『リーダーの易経』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644996
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■目次■
序章 易経とは何か
第1章 リーダー成長論―乾為天
第2章 陰を生み出し、陰に転ずる
第3章 「時」―時の法則性を読む
第4章 「処」―組織の環境を整える
第5章 「位」―リーダーの出処進退
終章 混沌へ復る
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