2005年8月26日

『テクノロジストの条件』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478300720/

本日の一冊は、マネジメントの巨人ドラッカーが、60年にわたり関心を持ち続けてきた、技術マネジメント論の集大成です。

ドラッカー一流の歴史観にはじまり、技術が人類の歴史に及ぼした影響、そして知識社会におけるテクノロジストの重要性と、イノベーションを生み出すための考え方…。

世界史を体系的に学んでいない人には辛い読み物かもしれませんが、じつに刺激的な論考だと思います。

「今日必要とされているのは、テクノロジストであって科学者ではない」というドラッカーの主張は、科学にかじりついている人にとっては耳が痛いかもしれませんが、今まさに起こりつつある変化だと思います。

タイトルは『テクノロジストの条件』となっていますが、知的生産にかかわるすべての人に読んでほしい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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鍵はエレクトロニクスではない。認知科学である。まさに出現しようとしている新しい経済と技術において、リーダーシップをとりつづけていくうえで鍵となるものは、知識のプロとしての知識労働者の社会的地位であり社会的認知である

◆知識労働の生産性を向上させるための条件
1.仕事の目的を考える
2.働く者自身が生産性向上の責任を担う
3.継続してイノベーションを行なう
4.みずから継続して学び、人に教える
5.知識労働の生産性は量よりも質の問題であることを認識する
6.知識労働者は、組織にとってコストではなく資本財であることを理解する

◆テクノロジストの生産性向上の条件
1.仕事は何かとの問いかけを行なうこと
2.テクノロジスト自身が仕事の質を担保すること
3.テクノロジスト自身が知識労働者であることを認識すること

企業をはじめとするあらゆる組織にとって、みずからの生存は知識労働者の生産性に左右されるようになる(中略)最高の知識労働者を惹きつけ、とどまらせる能力こそ最も基本的な生存の条件

◆ベンチャーが成功するための4原則
1.市場に集中すること
2.財務上の見通し(特にキャッシュフローと資金)
3.トップマネジメントのチームを、それが必要となるはるか前に用意
4.創業者である起業家自身がみずからの役割、責任、位置づけを決める

需要が増大しているにもかかわらず利益があがらなければ、技術の変化が必要であり、かつその機会があるということ

今日必要とされているのは、テクノロジストであって科学者ではない。しかも専門外の者、特に科学技術に優れた感性をもち、知的好奇心が旺盛な専門外の者のほうが、みずからの知識の虜となりがちな専門家よりも優れた仕事をする
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『テクノロジストの条件』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478300720/
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■目次■
プロローグ 未知なるものをいかにして体系化するか
1章 仕事と道具
2章 古代の技術革命に学ぶべき教訓
3章 近代を生み出したものは何か
4章 IT革命は産業革命になれるか
5章 知識労働の生産性
6章 ベンチャーのマネジメント
7章 つくるだけでは終わらない
8章 技術をマネジメントする
9章 方法論としての起業家精神
10章 イノベーションのための組織と戦略
11章 既存の企業におけるイノベーション
12章 イノベーションの機会はどこにあるか
13章 分析から知覚へ
14章 知識の意味を問う
15章 ポスト資本主義社会の到来
エピローグ インタビュー「新技術は世界をどう変えつつあるか」
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