2005年8月19日

『ケアの本質―生きることの意味』

www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4946509119/
本日の一冊は、30年以上前に書かれた名著で、タイトル通り、ケアの本質について書いたものです。

訳者まえがきにあるように、一応は哲学・心理学・医療・教育などの分野に該当しますが、その本質は、経営者、教師、プロデューサー、コンサルタント、親など、およそ人の成長を助ける仕事に携わる、すべての人に当てはまるものです。

読んでみて、その内容にもビックリ。ケアすることの本質と心構え、そしてケアを実行に移す際の注意点などが、じつに丁寧に書かれているのです。

書評者としてこれほど無責任な言葉もないと思いますが、本書の価値は、普段から人を助けることを真剣に考えている人が、実際に読んで初めてわかるものだと思います。

サブタイトルに「生きることの意味」とありますが、まさにその通り、豊かに生きるための本質が説かれた、素晴らしい一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである

他の人々をケアすることをとおして、他の人々に役立つことによって、その人は自身の生の真の意味を生きているのである

成長することとは、その人が新しいことを学びうる力を持つところまで学ぶこと

学ぶとは、知識や技術を単に増やすことではなく、根本的に新しい経験や考えを全人格的に受けとめていくことをとおして、その人格が再創造されること

ケアする人は忍耐強い。なぜなら、相手の成長を信じているからである

ケアする人は実に謙虚であり、相手や自分自身について、またケアというとどこまでが含まれるかについて、すすんでより多くのことを学ぼうとする。このことはまた、ケアされている人から学ぶことも意味している

無私の状態とは、最高の覚醒、自己と相手に対する豊かな感受性、そして自分独自の力を十分に活用することを意味する

自己中心的な人格は、根本的にその人自身には関心を持っていないのである。彼は自分を正直に見つめることを避けているのである

自分が純粋に興味を持つ事柄を中心に自分の時間を調整するのが、とりもなおさず、自分がより意義深く生きる一助となる

私と補充関係にある対象が成長して(例:音楽家にとっての音楽)、私を深く包み、私の生を実りあるものにととのえてくれるように、その対象の成長を援助する過程の中で、私自身も変容を遂げる

人は自分の場を発見することによって自分自身を発見する。その人のケアを必要とし、また、その人がケアする必要があるような補充関係にある対象を発見することによって、その人は自分の場というものを発見する
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『ケアの本質―生きることの意味』
www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4946509119/
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■目次■
I 他社の成長をたすけることとしてのケア
II ケアの主な要素
III ケアの主要な特質
IV 人をケアすることの特殊な側面
V ケアはいかに価値を決定し、人生に意味を与えるか
VI ケアによって規定される生の重要な特徴
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