2005年6月27日

『二大博士から経営を学ぶ』

http://tinyurl.com/afypy

本日の一冊は、デミング博士の研究家であるドミニコ・レポールと、ゴールドラット博士のパートナーであるオデッド・コーエンが、両博士の理論をまとめ、その共通点から、オペレーションマネジメントの要諦を導き出したものです。

内容的には、ベストセラー『ザ・ゴール』などで触れられている理論を土台に、継続的改善を可能にするための手順や、注意点、考え方などを紹介しています。

※参考:『ザ・ゴール』
http://tinyurl.com/cwvy8

注目したいのは、分析や改善計画実行のためのツールを詳しく紹介している点で、これらのツールを使えば、なぜプロジェクトが上手くいかないのか、現場の改善が進まないのかが一目瞭然です。

ある程度勉強している人を前提に話を進めているためか、若干記述に不親切なところもありますが、テクニカルな部分と人間的な部分のバランスが取れた、納得のいく論考だと思います。

とくに、「最高の結果は、個人個人の努力を合計することによって生まれるのではなく、彼らの『活動をうまくひとつにまとめること』によってのみ、可能となる」という見解や、「組織は常に自らのパフォーマンスを検証し、現在および将来において、どこか改善できるところはないかを探し続けなければいけません」というアドバイスは、マネジャーにとっての最大の課題を示しています。

メーカーに限らず、すべての業種・ビジネスに当てはまる原理・原則が説かれた一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆継続的改善のための10ステップ
1.システムのゴール、評価単位、評価基準を設定する
2.システムを理解する
3.システムを安定させる
4.制約条件を見つけて「集中プロセスの5ステップ」を実行する
5.バッファー・マネジメントを導入する
6.制約条件と主要プロセスの揺らぎを減らす
7.適切なマネジメント・ストラクチャーを構築する
8.外部の制約条件を除去する
9.可能な限り制約条件を組織内に取り込む
10.継続的な学習プログラムを作る

最高の結果は、個人個人の努力を合計することによって生まれるのではなく、彼らの「活動をうまくひとつにまとめること」によってのみ、可能となる

◆考慮すべき3つの評価尺度
1.在庫―投資(I)2.スループット(T)3.業務費用(OE)

パワフルなソリューションというものは、自らを廃れさせる傾向にあります。パワフルであればあるほど、現実に対する影響力は大きく、その結果、現実が変化して、自らの有効性をも奪い取ってしまう

組織のプロセスを設計する場合は、それに関わるすべての人から意見を聞かなければいけません

◆集中プロセスの5ステップ
1.システムの制約条件を見つける
2.制約条件を徹底活用する
3.制約条件以外のすべてを制約条件に従わせる
4.制約条件の能力は高める
5.ステップ1に戻る

◆プロジェクトが複数ある場合の対応方法
1.複数のプロジェクトを全部あわせてひとつの大きなプロジェクトとみなしスケジューリング
2.クリティカル・チェーン手法を用いて、プロジェクトをひとつずつスケジューリングし、プロジェクトを追加する度に、リソース間のコンフリクトを解消していく
3.クリティカル・リソースを基準にスケジューリングする(中略)リソース間のコンフリクトは戦略的リソースに関わるコンフリクトに限って解消し、また最初にまず全プロジェクトの戦略的リソースをスケジューリングする

考慮しなければいけないのは制約条件の最大パフォーマンス

◆根本問題の雲(根本問題解決のソリューションを見つける妨げ)
1.システムの「ルール」とのコンフリクト
2.リーダーが抱えている個人的なジレンマ・問題
3.異なる機能、マネジメント・レベル、あるいは個人間のコンフリクト
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『二大博士から経営を学ぶ』
http://tinyurl.com/afypy
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■目次■
第1章 さあ、はじめましょう
第2章 制約条件を使ってシステムを管理する
第3章 システムを成長させる
第4章 思考プロセス
第5章 デミング博士とゴールドラット博士
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