2005年5月5日

『プロダクトストラテジー』

http://tinyurl.com/c3qfo

本日の一冊は、世界的な技術コンサルティング会社PRTMの創業メンバー、マイケル・E・ダグラスによる製品戦略のテキストです。

マイクロソフトやアップル、デル、SAPなど、日米欧600社のメーカーから集めた250の事例を挙げながら、製品戦略の要諦をうまくまとめています。

もっとも大切な戦略ビジョンの策定から、製品プラットフォーム戦略、製品ラインアップの決定、競争戦略、価格戦略、急成長を狙う際の戦略など、およそハイテク企業に必要な製品戦略はほぼすべて網羅されています。

フレームワークだけを概観すると、誰でもできる気がするのですが、かつてのIBMや、業界向けのVTRで大成功を収めていながら、家庭用の市場をさらわれていったアンペックス社など、さまざまな失敗事例を見ていると、人間がいかに短視眼的になりやすく、またそれが失敗の原因となり得るのかがよくわかります。

また、本書を読んで、ハイテク企業が破壊的技術によっていとも簡単に凋落してしまう事実や、製品を市場に投入する際に次世代製品の構想を持っていない事実を考慮すれば、投資家はもっと慎重にならざるを得ないでしょう。

全体を読んで感じたのは、やはり製品や技術にはライフサイクルがあり、その波にうまく対応できないと、ハイテク企業は生き残れない、という事実です。

本書は、この変化の波に素早く対応する方法を、具体的に教えてくれる、数少ない良質なテキストと言えるでしょう。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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◆完璧なコア戦略ビジョンへの3つの問い
1.達成すべき目標は何か?――短期的な目的と長期的なビジネスチャンスとの間のバランスがカギ
2.どうすればそれを達成できるのか?――すぐ次に出る製品だけでなく、何世代にもわたって長続きするもの
3.なぜそれが成功するのか?――通常これは顧客に提供される価値に基づいている

プラットフォーム戦略の固有技術の選択は、ハイテク企業にとって最も重要な戦略的意思決定である

主要な製品プラットフォームが衰退期に入るとき、タイミングよく手を打たなければ、ビジネス全体がおかしくなる

ハイテク企業は、破壊的技術によって影響を受けやすいので、市場の長期的繁栄に関して、懐疑的で恐らく偏執狂的でなければならない

製品戦略の持つ真の可能性は、優れた製品ライン戦略があって初めて実現される

市場が成熟期に近づいたときには、アップグレードは継続的な収入増加の有力な手段である

差別化が成功するためには、顧客が価値を認めるような優位性が求められる。顧客が何に価値を認めるかを見誤ると、その結果として生まれた製品は、ほとんど失敗する

価格リーダーシップ戦略は、実際のところコストリーダーシップ戦略
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『プロダクトストラテジー』
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■目次■
Part1 製品戦略のフレームワーク
第1章 戦略にはビジョンを
第2章 ビジョンと戦略の整合を取る
第3章 製品プラットフォーム戦略で基礎を構築する
第4章 製品ライン戦略で製品ラインアップを決める
第5章 MPPフレームワークで市場の実現可能性を検討する
第6章 「てこの原理」で拡大路線を成功させる
Part2 競争戦略
第7章 差別化ベクトルで持続的な差別化を実現する
第8章 製品価格戦略
第9章 市場一番乗りと二番手戦略の優位性を活用する
第10章 グローバルに製品戦略を考える
第11章 ビジネスチャンスとカニバリゼーションのリスクを把握する
Part3 成長戦略
第12章 急成長へのハイウェイ
第13章 買収による成長
第14章 新規ベンチャーによる成長
第15章 イノベーションによる成長
Part4 製品戦略のプロセス
第16章 戦略上のバランスとポートフォリオマネジメント
第17章 製品戦略のプロセス要素
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