2005年4月24日

『商経 無一文から一兆円稼いだ中国商人の教え』

http://tinyurl.com/b4efk

本日の一冊は、今からおよそ百数十年前の清王朝時代に、金融機関の徒弟から身を起こし、一代で巨万の富を築いた人物、胡雪岩の教えをまとめたものです。

胡雪岩は、自らの自伝や経営に関する著作は残さなかったため、本書は、彼の断片的な発言をもとにまとめられました。

胡雪岩だけにとどまらず、李嘉誠や松下幸之助、陳玉書、陶建幸など、アジアを代表するリーダーたちの例もふんだんに盛り込んでおり、大変読み応えがあります。

経営者としての心構えやビジョン、人材の活用法、人身掌握術、戦略、ネーミングテクニックまで、じつに幅広い内容が、豊富なエピソードとともにつづられています。

とくに、人材のマネジメントに関しては紙数が割かれており、「金を使う時に重要なことは、機会と人物が適切かどうかをよく見極めること」「思い切って使い、使うからには疑いを持たない」といった教訓は、経営者・マネジャーなら、心しておきたいところです。

全体を通して読むと、商売の成功とは、人間としての成功でもある、ということがよくわかります。

ときには策略家、ときには人格者。不屈の精神で事業に挑み、人を信じて人を生かす、胡雪岩の経営の要諦が、限られた資料から、うまく掘り起こされていると思います。

いまどきの日本のビジネス書には見られない、骨太の経営論が楽しめる、かなりおすすめの一冊です。
————————————
■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
————————————
金で金を稼ぐのではなく、人で金を稼いでこそ自分の手腕が発揮される

人材を抜擢する際は、特に周囲から非難されてきた人物に注目する必要がある

その人が人材となり得るかどうかは、使われ方で決まる(中略)大きな才能は大きく使い、小さな才能は小さく使えばいい

他人が思いつかないことを考え、見えないものを見て、他人がしないことを実行に移すことが、すなわち成功の秘訣である

事を謀るは人に在り、事を成すは天に在り(諸葛 亮 孔明)
志を立てるは我に在り、仕事を成すは他人に在り(胡雪岩)

どんな人間も、桃を贈られれば李を返してくれるものなのである

信義は商売繁盛につながり、誠実は天下の客を集める

道徳と良心は知っていても、金を稼ぐ方法を知らなかったり、一定の事業手腕を持っていなければ、成功はおぼつかない
———————————————-
『商経 無一文から一兆円稼いだ中国商人の教え』
http://tinyurl.com/b4efk
———————————————-
■目次■
逆境の章 砥身(としん) 逆境にチャンスをつくり出す
人材の章 尽人(じんじん) 人を思いのままに動かす
好機の章 逐時(ちくじ) 来るべき時に大胆に行動する
時流の章 任勢(にんせい) 潮流にうまく乗る
組織の章 結営(けつえい) 点在する力を一つに集める
自信の章 堅信(けんしん) 一度立てた信念を守り続ける
信用の章 篤義(とくぎ) 世に響く名声を手に入れる
仁義の章 智仁(ちじん) 信頼を勝ち得るサービス
決断の章 勇謀(ゆうぼう) 大きな危険に賭ける
戦略の章 手活(しゅかつ) ライバルに勝つ秘策を練る
宣伝の章 造場(ぞうじょう) 美しく着飾って期待を抱かせる
評判の章 揚名(ようめい) 誰にも負けない金看板を掲げる
当意の章 洞明(どうめい) 人の心を見抜き、すばやく立ち回る
貢献の賞 効国(こうこく) 社会を案じ、天下を憂う
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー