2005年3月22日

『瞬間情報処理の心理学』

http://tinyurl.com/3lffh

本日の一冊は、人間が瞬時に物事を認識・判断するメカニズムを解き明かし、そこに秘められた落とし穴と、それを利用する方法を示した一冊です。

「瞬間情報処理」という体系だった学問分野があるわけではなく、心理学を中心としたさまざまな研究成果を、著者らが「瞬間情報処理」というキーワードでまとめたのがこの一冊です。

著者らによると、瞬間情報処理には、4つの特徴があり、そのうちの「無意識性・自動性」にこそ、「だまし」の余地があります。

わずか2秒の間に、私たちは一体どんなメカニズムで物事をとらえているのか。さっそくそのポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆瞬間情報処理の特徴
1.目標性・一貫性(生命維持や適応のための行動)
2.即応性・適応性(目の前にある情報を乗り切るための行動)
3.無意識性・自動性(熟慮なしに要素行為が連続的に行われる)
4.省資源性・効率性(できるだけ少ない資源消費で行動する)

だましのテクニックの多くは、瞬間情報処理の無意識性・自動性という特性を巧みに利用している

長期記憶の内容はエピソード的なもの、手続き的なもの、意味的なものに分類される

◆ウィッケンズが指摘した、人間の判断過程における12の特徴 ※一部紹介
1.人は初期の経験事象や情報に重きをおくため、それ以降の情報を重視しない
4.自分の判断に有利な情報を集めていることに気づかない
7.人間はせいぜい一度に三~四仮説しか扱えないほどの能力しかもちあわせていない
10.得られるもの以上に潜在的損失を過大視するため、その損失を意識した判断をする

◆ハンセンらの研究
A.大勢のなかに一人だけ怒りの表情を探す
B.大勢のなかに一人だけ喜びの表情を探す
=Aの方がはるかにその検出時間が短くて済んだ

◆瞬間的行動の3つのタイプ
1.技能ベース 2.規則ベース 3.知識ベース

◆一目でわからせる文書設計のコツ
1.漢字使用率を30%程度にする
2.カタカナは、漢字とは逆にその字形の簡単さゆえに「図」になりやすいので、慎重に使う
3.ひらがなについても、多すぎるときは、読点を多めにしたり、カギカッコや下線などの飾りを使うようにする

◆とっさの購買行動を引き出す7つのコツ ※一部紹介
1.テレビなどの「広告情報を店頭で想起」させ、親近感や安心感を引き出す
2.価格魅力で「今買ったほうがトク……」という判断を引き出す
3.価格魅力で「他の製品よりこっちのほうがトク……」という判断を引き出す
4.大量陳列・山積みなど「在庫切れを想起」させる陳列で、補充意向をくすぐる
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ほかにも、さまざまな研究・実験の結果が示されており、私たちの情報処理のメカニズムを理解するためには、貴重な一冊と言えるでしょう。また、文章や広告の作成など、ビジネス的にもヒントが満載の一冊です。

というわけで、本日の一冊は、

『瞬間情報処理の心理学』
http://tinyurl.com/3lffh

です。かしこい消費者になりたい方や、逆に商売に役立てたい方は、必読の一冊です。

■目次■
1章 二秒間に起こる見えの世界―視覚情報処理
2章 瞬時の音の世界
3章 一瞬の判断の世界
4章 瞬時的センサーとしての情動の世界
5章 とっさの行動の類型と特徴
6章 一目でわからせる文書設計のコツ
7章 一気に読める量を増やすコツ
8章 二秒で伝える広告設計のコツ
9章 とっさの購買行動を引き出すコツ
10章 好感の第一印象作りのコツ
11章 ひらめくコツ
12章 運転時の一瞬の判断を最適化するコツ
13章 勝利するための瞬間的な動きと判断のコツ
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