2005年1月12日

『戦略とは何か』

http://tinyurl.com/59g65

本日の一冊は、あのピーター・ドラッカーも大絶賛する、MBA向けの戦略テキストです。

著者は、クレアモント大学ピーター・F・ドラッカー経営大学院教授のコーネリアス・A・デ・クルイヴァーと、ヴィノラバ大学戦略的経営・起業家カレッジ商業・金融学部教授のジョン・A・ピアースII世。

決してボリュームのある本ではありませんが、ドラッカーやポーター、ハメルなどの戦略理論や、ナイキ、デル、マイクロソフト、インテルなどの事例をもとに、現在の企業に必要な戦略の体系やヒントが手際よくまとめられています。

索引も丁寧で見やすいので、必要な時にエッセンスを読み返すことも容易です。

具体的にどんな内容が書かれているのか、ちょっとだけご紹介しましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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戦略とは持続的競争優位性を達成するためのポジショニングを構築することである

■戦略を作成する際のポイント
1.いまどこにいるのか
2.どこへ向かうべきか
3.どうやってそこにたどり着くか

成功企業の多くは、自社が持つ経営資源と組織能力よりはるかに大きなビジョンを持つことでリーダーの座を確立した

■現在、戦略的資源として注目されているもの
1.人的資本
2.知的資本

■シナリオ分析のシナリオが最終的に備えているべき要素
1.関連性(利用者のメンタル・マップや関心と直接関連)
2.一貫性(企業内部との一貫性)
3.描写性(1つのテーマをさまざまな角度から描くのではなく、基本的に異なる将来を描いていること)
4.実行可能性(長期間にわたってシステムが存続できる均衡または状態)

ナイキとリーボックはバリューチェーン分析を行ったことで、製品デザインとマーケティング・販売におけるコア・コンピタンスが価値を創造していることがわかり、それ以外の活動をほぼすべてアウトソーシングすることにした

■組織内部の変革抵抗要因
1.構造的硬直性、組織的硬直性
2.時代遅れの考え方や戦略に基づいた柔軟性のない発想
3.変革を嫌う思考、行動、スキルを持った企業文化
4.現在の戦略的要件にそぐわない逆効果の変革推進力

ポーターの基本戦略に対する最も一般的な反論は、低コストと差別化は排他的関係にあるので、2つを組み合わせることで持続的な収益性を確保できる、というもの

経営幹部はポーターの基本戦略を採用せず、代わりに低コスト、差別化、顧客ニーズに対応する柔軟性などの要素を組み合わせた戦略を支持している

■ナイキ、デルをはじめとする成功企業が採用している基本戦略
1.製品リーダーシップ(イノベーション追求型)
2.卓越したオペレーション(生産方法と販売方法の改善)
3.顧客との親密さ(顧客ロイヤルティ構築に焦点)

■ポートフォリオ分析の限界
1.「金のなる木」や「負け犬」というレッテルを貼ってしまうと、それ以外の結果が出せない状況をつくり出すおそれがある
2.「どのようにして収益を伸ばすか」「ポートフォリオにどのような新規事業を追加すべきか」といった疑問に対する解決策は見つからない
3.「企業は資本を自ら調達できるはずだ」というBCGアプローチの大前提の妥当性が失われた
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通常、この手の本はフレームワークを得るために読むものと心得ていたのですが、本書の場合、そのフレームワークを設定することの弊害や、実務とのギャップといった部分にまで言及しているため、じつにためになります。

というわけで、本日の一冊は、

『戦略とは何か』
http://tinyurl.com/59g65

です。学者が書いたものとは言え、読みやすくボリュームも手頃なため、これから戦略を学びたい、という方にはおすすめの一冊です。

■目次■
第1章 戦略とは何か
第2章 外部環境の変化と不確実性
第3章 競争優位を確立するための内部資源と変化要因の活用
第4章 事業戦略の立案
第5章 事業戦略:コンテクストと特殊課題
第6章 全社戦略のダイナミクス
第7章 全社レベルの戦略オプション
第8章 グローバル戦略の立案
第9章 戦略の実行とコントロール
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