2004年12月1日

『豆富バカが上場した!』

http://tinyurl.com/5kl8x

本日の一冊は、豆富屋で初めて上場を果たした話題の人物、樽見茂さんによる一冊です。

土井が樽見さんの存在を知ったのは、テレビで、鈴木敏文さんに噛み付いているところを見てからです。かつて小売業のバイヤーに散々いじめられたという樽見さんが、鈴木さんの「建前」に猛烈に反発していたのを覚えています。

土井もかつてバイヤーをやっていたからわかるのですが、バイヤーというのは、ともすると傲慢になってしまいがちな職業です。本書にも書いていますが、樽見さんが接したバイヤーはよほどひどかったらしく、とても信じられないようなやり取りが平気で行われていたようです。

樽見さんの成功物語は、下請けのいちメーカーに過ぎなかった篠崎屋が、いかにしてしがらみを断ち切り、独自のポジションを築いて理念を実現して行ったかという過程を描いています。

編集担当のI氏が「元気が出ますよ」とコメントしてくれた通り、中小メーカー、あるいは起業間もない経営者に希望と元気を与えてくれる、そんな一冊だと思います。

しかし、本文のべらんめえ調には驚きました。赤ペンチェック的にもきついのですが、何とかポイントを抜き出して見ましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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上には先行企業がひしめいてるんだから。先輩に追いつき、追い越すためには、寝る間も惜しんで働くことだ。いい加減な気持ちじゃ成功しない

人間ってね、苦労しなきゃいけない時期があんの。苦労するべき時期を、早いうちに見つけたやつが成功する

種をまくことができるのは花を咲かせたやつだけだ。(中略)何かひとつでも成功体験がないと新しい仕事はできない

小さな花でも、たくさん咲かせて花畑にすればいい

「人の三倍働く」ってことは、「自分の生きる道を探すこと」(中略)自分の得意なことを早く見つけるためにも、よりいっそう今の仕事に打ち込むことが必要だね。よそ見をするヒマがあるなら集中すべきだな

未知のものに直面したとき、分かったふりをするやつは無能だ。本当にできるやつってのは、「理解できない」ことを恥じたりしないもんさ

だめなときは、なぜだめかを考える

どんな商品も五回目には飽きられる(中略)じゃあ作り手はどうするか。簡単だよ。商品を進化させればいい

お客さんはね、明朗会計にすればするほど、安心して気前よくお金を使ってくれるよ

「儲からない、儲からない」ってぼやいてる。俺に言わせりゃ当たり前だよ。寝てる機械ばっかりなんだから。そのくせ「原価を下げなくちゃ儲けが出ない」なんて言ってる。で、何をやるかっていうと原材料費の削減だ。あきれてものが言えないね。そんな大事なとこを削ってどうすんだ。消費者が離れていっちゃうじゃないか

たしかに機械屋さんは機械のプロだ。でも豆富作りのプロじゃない。うまい豆富を効率よく作るためには、豆富のプロがあれこれ注文をつけたほうが絶対にいい。うちの機械なんて全部特注だよ

どこかにスキを残しておけば玄人の方々が興味を示してくれる(中略)「業態はいいのにオペレーションで損をしてますね」「そうなんですよ、うちはみんな豆富屋ですから」(中略)フランチャイジーが増えれば豆富の売り先も増える

お酒屋さん繁盛のための五カ条
・消費の中心を担う、中高年者層を囲い込むこと
・差別化された独自の商品を持つこと
・人と人とのつながりを大切にした商売をすること
・元気で明るいお店であること
・全国に協力しあえる仲間を持つこと

打算がないからこそ人が集まってくれるし、引き立ててもくれる

上場をするためのポイント
・自分のビジネスが世の中の役に立ってるかどうか
・きちんと利益が出てるかどうか

人間は教育するものじゃなくて、自分で育つもの

ビジネスにおける成功とは、その人が亡くなったとき、周囲の評価で決まるものではないだろうか。「あいつは偉大だった」「あの男がいたから業界が発展した」などと言ってもらえたら、その人は成功だ。誰にも惜しまれることなく死んでいったら、どんなに大金を残したところで成功とは言いがたい
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全体を通して、樽見さんの「志」が伝わってくる、そんな一冊です。志と反骨精神という意味では、ベストセラー『小倉昌男 経営学』を髣髴とさせる、そんな本です。

参考:『小倉昌男 経営学』
http://tinyurl.com/6c95z

というわけで、本日の一冊は、

『豆富バカが上場した!』
http://tinyurl.com/5kl8x

です。経営者の「栄養ドリンク」として、一読をおすすめします。のどごしスッキリの爽快感が味わえますよ。

目次
第1章 起業家の心得「眠らなければ成功できる」
第2章 メーカーの心得「卸から脱却すれば成功できる」
第3章 異業種進出の心得「隠れ市場を見つければ成功できる」
第4章 企業家の心得「人の役に立てば成功できる」
第5章 株式公開の心得「流れをつかめば成功できる」
第6章 トップの心得「人に任せれば成功できる」
第7章 パイオニアの心得「誰もやらないことをやれば成功できる」
第8章 豆富屋の心得「商品をたくさん売れば成功できる」
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