2004年12月23日

『キヤノン流現場主義』

http://tinyurl.com/6n59m

本日の一冊は、キヤノンの御手洗冨士夫社長が、その経営の要諦を話し、ジャーナリストがまとめた一冊です。

開発や組織マネジメント、戦略、そして会社としてのあり方まで、御手洗社長の個性的な考え方をうかがい知ることができます。

聞き書きというスタイル自体への不満があるものの、プロの書き手が書くことによって、読みやすくなっているのは間違いありません。

では、具体的にどんな内容が盛り込まれているのか、さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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会社にとって大事なのはまず「従業員の生活の安定を図ること」であり、二つ目は「投資家に利益を還元すること」、三つ目は「社会貢献をすること」、そして四つ目は「先行投資するに十分な資金を稼ぐこと」である

ある事業に携っている人がどれほど愛着を持っていようと、長期不採算事業であれば閉鎖するのが当然

安心して開発投資をするには、借金を返して自己資本の充実を図ることが第一条件

P/L(損益計算書)重視の経営にはしばしば落とし穴があります。(中略)それに対してキャッシュフローを重視するということは、お金の流れから会社の実態を把握していくということです。(中略)これを分析すれば「自由に使える資金が手元にどれだけあるのか」もつかみやすくなります。

■企業が自由に使える資金源
1.過去の投資に対する減価償却費
2.税金を支払ったのちの純利益
3.管理努力により売掛債権や在庫などの資産を圧縮して得られる資金

会社全体で力を発揮していくには適切な目標設定をすること、目標を支える考え方の浸透を図ること、目標を実行するための仕組み作りの三つが必要

目標設定と実行をうまく機能させる方法をひとことで言えば、「トップダウン」(中略)決断し行動する人物が会社全体をよい方向に導いていく、そんなイメージです。

漠然とした目標ではなく、後で達成の度合いを評価できる経営目標を立てるとなると、多面的な情報収集が必要(中略)情報収集の際に大切なことは、みなにもよく言うのですが、「情報は待つな。取りに行け」ということ(中略)もう一つ、情報収集に関連して重要なことは情報の「本質を見抜く力」

スピードの速い経営をするためには、やはり人心が安定していることがとても大事

会議に出席するときは必ず目的を持って、会議に来てからものを考えるのではなく、会議には結論を持って来るようにとみんなに言っています。

かりに自分の提案に対する反対意見があっても、相手がなぜそう考えるのかを理解できれば、感情的な対立にはならない

「本格的な基礎技術が確立していなければ、製品化してはならない」(中略)どんなものであれ、製品は技術の上に乗っています。製品を支えている技術が多様であり、深ければ深いほど、その製品は差別化できますし、寿命も長くなります。それが重要なのです。

■「社会に親しまれる会社」「社会から尊敬される会社」の条件大前提:業績が優良である
1.社員が優良市民であること
2.環境との共生
3.コンプライアンス(法令遵守)
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「現場主義」という割に、包括的な経営の話でしたが、なかなか興味深い内容です。これまでのキヤノン本と比べても、まずまずの出来だと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『キヤノン流現場主義』
http://tinyurl.com/6n59m

です。御手洗社長の考え方を理解したい、という方にはおすすめの一冊です。

■目次■
序章 利益重視の原点
第一章 利益追求への改革
第二章 会社を強くするコミュニケーション
第三章 組織を動かす仕掛け作り
第四章 メーカーの競争力の源泉
第五章 戦略の柱は多角化と国際化
第六章 社会に親しまれる会社
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