2004年11月8日

『一攫千金』

http://tinyurl.com/6j7ag

本日の一冊は、飲食業界の異端児、現在年商10億円の「マネーの虎」安田久さんの自伝です。

何をやっても中途半端だった田舎での青春時代、大学受験に失敗したのがきっかけで飛び込んだ飲食業界でのエピソード、そして500万円の借金、妻との離婚…。

激動の半生と、そこから這い上がり、大成功を収めるまでの奇跡が、興味深く描かれています。

実務的にも、他者のビジネスモデルを参考にする姿勢、市場調査の視点、そして資金調達のポイントなど、参考になる部分は多いと思います。

読者が起業家であれば、著者が資金調達に奔走し、最終的にヤミ金融にまで手を出した、というくだりは特に読み応えがあるでしょう。

エピソード中心の本で、引用が難しいのですが、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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閃きはいきなりおとずれたのではなかった。こうすればかならず当たるというシステムというかデータはあった。カンではない確証があった。まだそのころ勤めていた会社の店「ガネーシャ」が当たりに当たっていて、そのシステムをそっくり頂戴すれば、間違いなくヒットする

(投資家に言われた言葉)
こんなことも処理できないやつに社長は無理だ。大成しないよ。闇金融だろうがなんだろうが、リスクを背負わないやつは嫌いなんだ。人の金を当てにするやつは、何かあったら逃げる。かならずな。デカイことをやるんだったら、それなりの根性を据えてかかれ

(お笑いネタ)
俺に帰るところはないのだ。帰るとなったら、秋田の男鹿半島の、安全寺という暗い淋しい山の中の村しかない。あの蛇とタヌキの出る暗い道だけはいやだ。あの暗い道に帰るくらいなら、死んだほうがましだ。死ぬくらいなら、闇金融だろうがなんだろうが、かまうことはないじゃないか

これまで人にほめられたことなどほとんどなかった。勉強は難しくて頭に入らない。スポーツはなにやってもダメ。ほんとうにほめられたことなどないのだった。勉強は難しいが、人にサービスすることは簡単だ。こんな楽しいことはない、と思った。そのとき、俺の天職はこれだ、と悟った

できれば失敗などしないほうがよい。失敗には原因がある。あとから考えれば、馬鹿馬鹿しいような原因で、冷静に判断すれば失敗をしなくてすんだものばかりだ(中略)過信も失敗の原因となる。それでRoll’s sweetsが失敗。こんどの失敗の原因は、あせりだった

投資するかどうか、決め手のひとつは人間性だ。どんな人間がよいのかというと、素直であること。虎は、何百万と金を出すのだから、鋭い質問を飛ばすのは当たり前だ。(中略)状況を客観的に把握して、どれだけ平常心でいられるか。叩かれても、冷静に判断できるやつなのか。虎たちはそこを見ていた

■金を出す三つの要素
・アイディアがいいか
・数字のマジック
・人間性

■儲かるための12条

3.マイナスはプラスだ
どんな環境だって、利用できるものはぜんぶ利用しろ。マイナスはプラスだ。マイナスはハングリー精神としてプラスに利用できる。プラスはプラスだ。自分の目的のために、親だってなんだって、利用しろ

5.即決で、もっと儲かるプランをやる
しがみつくよりは、もっと儲かるプランを考える。早く考えて、早く実行する

9.絶対儲かる数値 長年の経験から得た、ケチる限界
人件費20パーセント+原材料費20パーセント=40パーセント

■さらに儲かり続けるための18条

2.目標は数字で設定する
数字を掲げておくことが、いちばん適切な任せ方であり、励ましとなる

4.人件費と原材料費の下げ方
メニューを減らすことで、料理のクオリティを下げず、原材料費を下げることができる

5.マル秘の儲かる計数管理
人件費、原材料費、その合計が売り上げに対して55パーセント以内

15.自分が成長することが社員教育になる
自分より能力がないと思ったら人はついてこない(中略)人を指導しようと思う前に、自分を指導すればいい

18.自分をサボらせてはいけない
重要なことは、考え続けることだ。サボってはいけない。俺はもう二度と昔の生活に戻りたくない
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今回は事情が事情なため、この本をもっとも楽しめるのは土井です。よって、この本がいちおし、と言えるかというと難しいところがあります。皆さんで判断してください。

あえてコメントすると、エピソードが豊富なため、起業を志す方にとっては、参考になるということ。それから、やや突っ込みは浅いとはいえ、安田さんの商売の秘訣や考え方が盛り込まれており、読み方次第では良質なビジネス自己啓発書となる、ということでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『一攫千金』
http://tinyurl.com/6j7ag

です。薄い本であり、エピソード中心のため、さらりと読めると思います。ぜひ読んでみてください。

目次
プロローグ
アルカトラズへの脱出
生まれ故郷が憎い
儲けるからくりを見た
疾風怒濤の出店
ご存じ「マネーの虎」となる
儲かるための12条
さらに儲かり続けるための18条
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