2004年11月25日

『ニッポン型上司が会社を滅ぼす!』

http://tinyurl.com/4dzns

本日の一冊は、ベストセラー『やっぱり変だよ日本の営業』の著者、宋文洲さんによる、注目の新刊です。

参考:『やっぱり変だよ日本の営業』
http://tinyurl.com/5pxk4

中国人の目から見た、日本企業のおかしな風習や行動、取り組みに警鐘を鳴らし、マネジメントのあるべき姿を示唆しています。

上司の勘違いや、現在の成果主義の問題点、「曖昧」さの弊害など、さまざまな問題点を浮き彫りにし、対応策を論じています。

では、具体的にどんな指摘がなされているのか、さっそく見てみましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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社員は会社に労働を売っています。課長も部長も、さらには社長も労働を売っています。これらの労働を最終的に買ってくれるのは、会社ではなく、お客様もしくは株主です。会社だけに目を向けていると、こんなごく当然の図が、見えなくなってしまいます

会社のトップが「家族的な経営」を口にしているのなら、私たちが求めてやまない「家族愛」を利用し、アンフェアな雇用関係や不正な経営をしていないか、冷静かつ厳しい目でチェックすべき

経営者たるもの、言葉だけが立派な企業理念や、脈略のない「情」で社員の結束を強めようとしてはいけません。行動と実績で社員にメリットを与えることが、経営者の役割なのです

ハングリーや苦労を前提にした家族的経営や企業への忠誠心をもとに今の若者を批判するよりも、今の時代に合う経営スタイルを模索するほうが社会のためになります。フリーターを非難するよりも、フリーターの若者も勤めたい会社をつくるといいのです

問題の原因を明らかにしなければ、同じ問題が再び起きます。だから社員を集めて何が悪かったのかをつかむ必要があるのです(中略)「誰が悪いかは知っているけれど、同僚のために黙っておこう」というおかしな正義が貫かれれば、問題解決には至りません

思いつきで指示をする矛盾上司は、プロセス・マネジメントを行っていない(中略)どのようなプロセスが利益アップにつながり、逆にどのようなプロセスが利益減につながるか、その割合が現状ではどうなっているかを定量的に把握しておく必要があります

モノ・サービスが売れるようにし、利益をアップするためのプロセスは、時代によって、商品によって、売る側の理念によって大きく変わる

本来、上司が部下へ指示することは、部下へ発注するようなものなのです。だから上司は、部下への指示も外注と同じような慎重さをもたなければならないのです

社員の結果のみを重視すること、結果だけで社員の成果を判断することを「成果主義」と定義している企業は少なくないのです。結果だけを重視して、その結果に至るプロセスを無視すれば、結果につながる原因は明確になりません

成果が生まれる六つの要素
1.モノ・サービスが不足していると売れる
2.商品力があると売れる
3.ライバル会社が問題を起こすと売れる
4.場所がよければ売れる
5.コマーシャルがよいと売れる
6.利益を無視すれば売れる

パンがおいしくなるのは「おいしくなるような工程があるから」だ(アンディ・グローブ)

プロセスの設計とは顧客が求めている結果に対して、どのような客観的な事実を積み上げればそのような結果に至るかを、顧客の視点に立って設定すること

マネジャーは、プロセスに関わるあらゆる事実を、リアルタイムに記録しておく必要があります。これによってプロセスの進捗や改善点などが見えるので、素早い修正が可能になります

売れるという結果を出すまでのプロセスが明確になっていれば、どういう人材をどこに配置すればもっとも効率的かも見えてきます(中略)マネジメントとは、限られた人材を生かすことです

組織をもっとも効率的なシステムにするには
1.目標を明確にし、その目標に向かうプロセスを設定すること
2.組織にいる全体の人間が、指示に従い、プロセスを確実にこなすこと

マネジメントの基本は人の管理ではなく、価値創造の過程の管理
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表紙からは想像もつかないような厳しい指摘がなされていますが、書かれていることはもっともだと思います。これまでの日本企業がいかにプロセス・マネジメントを行わずに「人の管理=マネジメント」の弊害に陥っていたのかがよくわかる、そんな本です。

というわけで、本日の一冊は、

『ニッポン型上司が会社を滅ぼす!』
http://tinyurl.com/4dzns

です。本当に成果を出したいと思うマネジャーならぜひ読んでほしい、そんな一冊です。

目次
まえがき
第1章 ニッポン型組織の根本的勘違い
第2章 ニッポン型上司をCTスキャンにかけてみる
第3章 成果主義の嘘と矛盾
第4章 「曖昧」が会社を、そして日本を滅ぼす
第5章 世界のすべてがお客様
あとがき
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