2004年10月14日

『コトラーのマーケティング講義』

http://tinyurl.com/68c26

今日の一冊は、「4P」の伝道師、マーケティングの世界的権威、フィリップ・コトラー教授による一冊です。

原書は、『Philip Kotler’s FAQ’s on Marketing』。内容的には、「世界中のマーケターが聞きたかった質問すべてに答え」るというコンセプトのもとに編集した、FAQ集です。

今日の赤ペンチェックでは、これらのFAQのなかから、目ぼしい質問と答えをピックアップしてみようと思います。

※「A」の部分は答え全体の一部です。ご了承ください。
—————————————-
 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
—————————————-
Q.消費財、産業財、サービスの各分野でマーケティングは共通なのでしょうか?
A.STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)や4P(製品、価格、流通チャネル、プロモーション)といった枠組みは、あらゆる市場、製品、サービスを分析して、マーケティング・プランを立てるのに役立ちます。もちろん、各市場ならではの特性もありますから、一般には新たな発想やツールも求められるでしょう。たとえばサービス産業のマーケターたちは、マーケティング・プランを立案する際に、いま挙げた4Pに加えてさらに3つのP、つまり人材、業務プロセス、物的証拠に大きな注意を払っています。

Q.ご自身が事業を立ち上げて、販売・マーケティングの土台を築くとしたら、凄腕のセールスマンとマーケティングの逸材と、どちらを雇いますか?
A.目先の利益を追いかけるなら、凄セールスマンを雇います。他方、長期的な繁栄を目指すなら、マーケティングの逸材を選びますね。セールスとは、すでにある製品の買い手を見つけることに尽きます。ですが、そもそもどのような製品をつくるべきかという問いへの答えにはつながりません。

Q.企業に代わって、消費者がパワーを増大させています。なぜでしょうか?
A.製品や企業の数が増えていますから、顧客にとっては製品不足という問題はありません。ですから、”お客様は神様”なのです。
  (中略)インターネットの普及によって、価格、ひいては利益率が下がり、ダーウィンの法則よろしく、適者生存が実現するのです。

Q.「ナローキャスティング」についてはどの程度支持されますか?
A.マーケターは、「ブロードキャスティング」から「ナローキャスティング」へと軸足を移していくべきです。(中略)マーケティング・コミュニケーションの第1のルールは、ターゲット顧客が誰かを見極め、そのメディア特性を把握することです。そしてメッセージを流す媒体を絞り込むのです。

Q.テレビCMの効果には翳りが見られるようです。注目を集めるためには、ほかにどのような方法があるでしょうか?
・スポンサー活動
・トーク番組取り上げてもらう
・プロダクト・プレイスメント
・街頭プロモーション
・著名人のお奨め
・人を広告塔にする

Q.テレビチャンネル数の激増を受けて、チャンネル・サーフィンが盛んに行われているにもかかわらず、広告会社はテレビの広告枠を買い続けています。広告主は市場の変化に気づかずにいるのでしょうか?
A.無駄で押しつけがましいマス広告の時代は、足早に過ぎ去ろうとしています。私はクライアントに、テレビCM予算、特にマス広告の予算を削減するようにアドバイスしています。(中略)市場は細分化が進んでおり、ダイレクト・メール、テレマーケティング、電子メール、ファクス、ウェブサイト、スポンサー活動、イベント、見本市などのほうが、得てして高い効果が期待できます。
—————————————-
ちょうど3年前、コトラー教授のお話をうかがった時は、インターネットマーケティングについて、後追いの感があったのですが、本書では若干修正されているようです。

ただ、全体を通して読んで、その主張はやはり消費財産業、しかも大企業が前提となっている気がして仕方ないのです。中小企業やニッチ市場についても若干触れている部分がありますが、残念ながら、マーケターの悩みを解消するにはいたっていないと思います。

しかしながら、世界のマーケティングを主導してきた氏の考え方は、やはり枠組みとしては押さえておくべきで、気の利いたマーケターなら、これらの本質論からきっとヒントを得られるに違いありません。

というわけで、本日の一冊は、

『コトラーのマーケティング講義』
http://tinyurl.com/68c26

です。ベストセラーとなった『コトラーのマーケティング・コンセプト』には及ばないものの、現存する本の中では、もっとも手軽にコトラーのエッセンスを学べる一冊のうちのひとつだと思います。

参考:『コトラーのマーケティング・コンセプト』
http://tinyurl.com/3r44s

目次

講義1 市場とマーケティング
講義2 マーケティング戦略
講義3 マーケティング・ツール(4P)
講義4 マーケティング・プランニング
講義5 マーケティング組織
講義6 マーケティング・コントロール
講義7 マーケティングの適用領域
講義8 卓越したマーケティング
監訳者あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー