2004年9月19日

『粉飾バンザイ!』

http://tinyurl.com/5579q

著者は、『借りる技術 返す技術』、『借金バンザイ!』などの資金繰りモノで知られる経営コンサルタント。

参考:『借りる技術 返す技術』
http://tinyurl.com/4feyz

参考:『借金バンザイ!』
http://tinyurl.com/6mc84

前作同様、本書でも、銀行の融資担当だった経験を生かし、貸す側の立場を踏まえた、実践的な資金繰りノウハウを提供しています。

では、さっそくその内容のポイントを見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック
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借りられるかどうかは、会社の内容だけじゃないんです。同じ内容の会社でも、借りられる会社と借りられない会社があるんです。だから、テクニックが必要なんです

繰越欠損がなくなってくると、法人税の負担が気がかりになってくる(中略)繰越欠損があればこそ、出た利益をすべて返済にまわせる

新たな担当者からすれば、リスケした融資先なんかは知ったことじゃない。(中略)もし、リスケしたときの期限が一年限りであれば一年経ったら元通りの返済に戻してもらうだけ。それでは借りてるほうは困るでしょ?だから、持って来いって銀行から言われなくても、最低三カ月に一度は試算表と計画・実績表を持って銀行の融資のカウンターを訪れなきゃダメなんですよ

■粗利を上げる裏ワザ

売上総利益(粗利)=売上高-売上原価

売上原価=期首棚卸商品+当期仕入高+期末棚卸商品

■売上総利益(粗利)を上げるには…

1.売上をあげる(難しい)
2.売上原価を小さくする(これしかない!)

■売上原価を小さくする方法

いじれるのは期末棚卸商品だけ
だから期末棚卸商品を多く計上する

■粉飾三点セット
・売上の前倒し
・仕入れの先延ばし
・在庫の水増し

(貸借対照表の)資本の部の△が、総資産の一割を超えてくると…追加融資はちょっと苦しい。ただ、この債務超過がもっと大きくなったら…。しかも目一杯借りてたとしたら…それはそれで借りられる可能性が出てくる。だってさ、追加融資止めたら、倒産しちゃうかもしんないでしょ?そうなったら銀行としては、それまでに貸したお金が全部パーになっちゃうかも?だったら、業績回復を期待して、もっと突っ込む(追加融資)しかないかなって思うかも

(流動資産の)バランスの良し悪しで、目先の資金繰りが忙しいかどうかがわかっちゃう。(中略)その中でも大事なのは、流動資産の中身。(中略)これら流動資産のなかの「商品」から下の科目…これ、ほとんどお金に換わりません(中略)

流動資産で肝なのは、現預金はもちろんだけど売掛金・受取手形と在庫(これらを「当座資産」と言う)

損益計算書をめくって、真っ先に見るのが減価償却費。これに、税引き後当期利益を足していくらになるか?ちゃんと長期借入金の返済に足りそうかどうか?を見るんですよ

償却前利益より借金返済が多ければダメ。問題アリ。法人税いくら払ってようが社長の給料いくらとってようが関係ナシ。会社決算としては、償還能力不足

机の上に、二年分の貸借対照表を並べてみましょう。真っ先に見るのは、売掛金・受取手形と在庫かな。これらが前期より比べて多くなったか少なくなったか?

■チェックポイント
・売掛金と在庫の関係
・買掛金
・固定資産
・短期借入と長期借入の関係

長期・短期の借入金の総額は大きく変わりないのに、短期が減って、長期が増えたら…それって回収の前触れ?だってさ、いままで短期で借りっぱなしだったのが、長期で毎月返済させられたらボディブローのように資金繰りに効いてきませんか?

「おわりに」から
やっぱりさ、決算のこと、自分でわかってなきゃ。人任せにしちゃだめですよ。自分の会社の、大事な大事な決算書なんですから…

※第3章、第4章は、粉飾の仕方について詳しく書いてあるため、読者のみなさんの良心におまかせします。ここでは紹介しません
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タイトルの奇抜さや、中身の点から、なかなか紹介しづらい本ではありますが、実際には、生きた会計がカジュアルに学べるユニークな本です。独立する前、独立直後の経営者は、読んでおくと役立つと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『粉飾バンザイ!』
http://tinyurl.com/5579q

です。あたかも著者からコンサルティングを受けているような感覚で学べる、というのが、本書の最大の魅力でしょう。

目次

プロローグ
第1章 実録!「粉飾社長」
第2章 5分でバレる?あなたの会社のヤバさ!
第3章 粉飾するなら、ここまでやらないとバレる!
第4章 ジャンジャン粉飾!黒く塗りつぶす裏ワザ!
第5章 時代は変わった!ルールも変わった!だから、粉飾も変わった!
おわりに
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