2004年9月13日

『半農半Xという生き方』

http://tinyurl.com/6lpfh

本日の一冊は、私が著者に直接おねだりして、見本をいただいたものです。ありがとうございます!

著者の塩見さんは、大学卒業後、通販会社に勤務。ある日、作家・星川淳氏の著書のなかで、「半農半著」という言葉に出合い、触発されて、「半農半X」(Xは誰もが有する可能性や長所)のライフスタイルを思いついたそうです。

結果として著者は、妻の反対を押し切って、33歳を機に退社。故郷である京都府綾部市で、「半農半X」を実践し始めました。

現在は、小さな自給農のかたわら、ソーシャルビジネスを主宰したり、また2000年からは、「里山ねっと・あやべ」のスタッフとして、同地域の可能性や21世紀の生き方を探っていらっしゃいます。

ちなみにこの「里山ねっと・あやべ」は、田舎暮らしに興味のある方、町おこしに興味のある方には、なかなかおすすめのサイトです。

参考リンク:「里山ねっと・あやべ」
http://www.satoyama.gr.jp/

で、書籍はどうかというと、著者が「ビジネス・ブック・マラソン」を読んでいらっしゃるだけあって、単なる理想論ではありません。実務と思想のバランスがよく取れた一冊だと思います。

基本的には、タイトルにある「半農半X」のコンセプトに沿って、新しい時代の生き方を提案している本なのですが、中には数多くの事例と、取り組みが紹介されています。

興味のない人は、事例部分を飛ばして、新しい生き方に関する部分だけを読んでみてもいいと思います。

では、さっそく本文から、ビジネスパーソンに関係のありそうな部分だけををピックアップしてみましょう。
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 本日の赤ペンチェック
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(「半農半X」とは)一人ひとりが「天の意に沿う持続可能な小さな暮らし(農的生活)」をベースに、「天与の才(X)」を世のために活かし、社会的使命を実践し、発信し、まっとうする生き方だ

人間なら誰しも自分の好きなこと、得意なことを持っているはずだ。天職とか使命と考えてもいい。才能を活かしてなんらかの役割を担うことは、人として生かされている神秘に対する恩返しだと思う

今はもう大きいことを求める時代ではなく、「小ささ」「コンパクト」が求められるスロー&スモール・イズ・ビューティフルの時代だ

田舎暮らしでは割合に広い家に住め、「半農」ともなれば、夫婦がともに家にいる時間が多いので、一方的にどちらかが親の面倒を見なければならないということも少なくなり、三世代同居が可能だ

引き算という考え方は、仕事に対する姿勢にも影響を与えてくれた。私は、その仕事は自分のミッションに沿う「使命内」のものか、それとも「使命外」のものなのかと考えるようになった。使命外だからといってやらないのではない。自分がやるべきことなのか、他人でもできることなのかの判断、あるいは優先順位をつけられるのだ

とりたてて気に留めることがなかった日常的なものを活かして「X」にしたことで、生きがいになる仕事を見つけた。それで芝原さんは輝きを増した。この生き方こそ、高齢社会においても幸福感、充実感を持って生きていける「半農半X」の真価と言えるだろう

今という時代は「ないものねだり」をするのではなく、「あるもの」を探して活用する時代である。私たちには見えていないだけで、もうすでに「ある」のだ

金が第一義の経済活性化では都市の豊かさしか見えず、地域は『ないものねだり』をするしかないが、金以外の自然風土、生活文化、コミュニティ、金にあくせくしない生き方など、地域に多様にあるものの価値に目を向け、掘り下げれば、地域固有の豊かさが見えてくる

一〇年以上も前から、ビジネスの世界では「物語マーケティング」が常識化している。消費者の琴線に触れるには「物語」が必要なのだ。まちづくりにも同じことが言える

今の世の中はすべてが一代限りの発想になっている。料理の多様性・郷土性・現地性が失われて、世代間の断絶というか、大事なことが伝わっておらず、いのちのつながりがない

コンピュータの世界では、データや情報を公開してみんなで共創していく「オープンソース」という考え方が主流になっている。二十一世紀は独占より開かれていることが大事になる。(中略)他者とつながるためには、オープンハートであり、それぞれの分野で天の才を世に活かしていくことが大切である

私たちはつい受け取ることや与えたことに執着しがちである。先人は「放てば満てり」と言った。こだわらず、解き放つことで、自由になれるという意味だ

今後は、万人の悲願として全人的な生き方が求められる。全人的な生き方の最も大切な基礎は、自分を守る知恵を持つことと、ひと仕事を達成する力量である

ナンバーワンを求めた時代から一人ひとり、一生命一生命、一地域一地域が輝くオンリーワンの時代へと時代は確実に変わってきている。二十一世紀は使命多様化の時代なのである

「自分探し」とはなんだろう。人はその鍵を探すか、鍵穴が分からないことも多い。ほんとうの自分を知るということなのだろうが、私は「天与の才」、つまり、「X」を自分の中に見出し、世に活かすことだと思う
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町おこしや自分探し、新しいライフスタイルの提案といった切り口で書かれた本ではありますが、その根底には、ビジネスにも通じる思想・哲学が存在しています。

というわけで、本日の一冊は、

『半農半Xという生き方』
http://tinyurl.com/6lpfh

です。移住ブームの昨今ですが、新しい生き方・働き方を模索する方には、とてもいい刺激を与えてくれる一冊です。もちろん、町おこしの担当や、事業のヒントを探している人にも、参考になります。

目次
第1章 田舎に出よう! そこは人間復興の場だった!
第2章 小さな暮らし、大きな夢 田舎暮らしの楽しみ
第3章 きっと見つかる!自分という魅力に満ちた原石
第4章 それは「やりたいこと」か「やるべきこと」か
第5章 「半農半X」は問題解決型の生き方だ!
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