2004年8月11日

『出版をめぐる冒険』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860590171/

本日の一冊は、「現在活きのいい」版元の事例集です。

トップバッターは、従来の常識を破り、独自の流通網を築き上げた、ディスカヴァー・トゥエンティワンです。

この版元は、従来「数百店止まり」と言われていた書店との直取引を、素人中心の営業部隊で、なんと4000店以上に拡大しました。しかも、販売しているのは、「CDサイズ」と呼ばれる、これまでにない形式の本が中心。サイズや単価の問題から、当初、書店には冷ややかな目で見られたといいますが、20代~30代の読者を中心に、現在では順調に売上げを伸ばしているようです。

続く版元は、丸善メイツからEBO(現代版ののれん分け)したメイツ出版。

『子どもとでかける東京あそび場ガイド』をはじめ、子育て&ファミリーに特化したガイドブックで見事成功を収めた版元さんです。ここがユニークなのは、その編集方法。地域で活躍する女性グループや、地元のお父さんお母さん、つまり素人に取材・執筆を依頼して、それをまとめる形式で本を作り、大ブレイクさせました。

おもしろいのは、地元密着のため、地元のパブリシティが期待できること。私も仕事をしていて、地方メディアの影響力は肌で感じていますから、このやり方はなかなか賢いと思っています。

ほかにも、東京の地下鉄で展開しているフリーペーパー「メトロミニッツ」や、OL向け情報サイト「OZmall オズモール」を手掛けるスターツ出版、パートワークで市場を席巻したデアゴスティーニ・ジャパン、定価100円の本作りに挑戦した大創出版など、個性派出版社の事例がたくさん紹介されています。

後半部分では、「中堅出版社の生き残り戦略」として、ポプラ社やミネルヴァ書房、筑摩書房、農山漁村文化協会など、中堅版元の取り組みを紹介しています。

公開できる情報が限られているからでしょうが、正直、もっと突っ込んで論じて欲しかった部分はあります。また、版元によって、情報量がまちまちだったりもします。

ただ、現在活きのいい版元の事例をまとめたことの意義は当然ありますし、出版業界の構造を詳しく知りたい方にとっては、図説や脚注の解説が充実していて、非常に役に立ちます。新人教育に使ってみてもいいかもしれません。

というわけで、本日の一冊は、

『出版をめぐる冒険』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860590171/

です。業界人は必読、それ以外の方でも、成熟産業に潜むビジネス・チャンスに気付く、良いきっかけになるでしょう。

目次

第1部 オンリーワンを目指せ!小出版社の挑戦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
メイツ出版
スターツ出版
デアゴスティーニ・ジャパン
トランスビュー
大創出版
ボイジャー
第2部 常識を捨てろ!中堅出版社の生き残り戦略
ポプラ社
ミネルヴァ書房
求龍堂
京阪神エルマガジン社
筑摩書房
農山漁村文化協会
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