2004年7月24日

『価格の決定権を持つ経営』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4891010282

企業にとって値決めの主導権をにぎりことが以下に大切なことか、また、それを実行するためにどうすればいいかを説いた本です。

著者の酒井光雄さんとは、日本経営合理化協会の五藤さんの仲介で今年5月に食事をしました。はっきり言ってナイス・ガイです。

ちなみに言っておきますが、著者と食事をしたから本を紹介する、ということは決してありません。むしろ因果関係が逆で、いい本を作る人だから、食事するのです。

酒井さんは、ブレイン ゲイトというマーケティング・コンサルティング会社の代表で、同社は、1997年の8月、日経がまとめた経営コンサルタントの利用実態調査で、第18位に輝いた、エクセレントカンパニーなのです。

この会社のおもしろいところは、マーケティングを、無機質な「市場調査」ではなく、「ヒトの心をつかむサイエンス」ととらえているところです。

本書『価格の決定権を持つ経営』には、そんな酒井さんのマーケティング・エッセンスがふんだんに詰め込まれています。

「市場原理でなく生産原理でモノを作る仕組みになっていないか」
「何かで評判の企業となっているか」
「量を売って売上を作ろうとしていないか」
「価値を最後まで守り抜く売り方になっているか」

といった問い掛けにはじまり、

「商品の開発哲学を疑う」
「顧客を疑う」
「原料を疑う」
「価格を疑う」
「売場を疑う」

といった、収益率を高めるための視点、オンリーワン企業を実現・維持するためのポイントなどが、さまざまな企業の実例を交えながら書かれています。

紹介されている事例に関しても、うどん一杯1500円の名物うどん店「山本屋本店」や、笛(ホイッスル)の世界的メーカー「野田鶴声社」、一流ギタリスト御用達のプレミアギターを作る「ギブソン」など、一味違うものばかりで、読みごたえがあります。

そして、なんと言っても、最終章の経営者に対する問い掛けが読ませてくれます。「経営者の語る夢こそが、事業発展の原動力である」と説いたこの章は、おそらく経営者にビジネスの醍醐味を、思い出させてくれることでしょう。

ということで、今日の1冊は、

『価格の決定権を持つ経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4891010282

です。お値段は本体15000円と少々張りますが、それだけの価値は十分あると思います。

つまり、この自体が価格の決定権を持っているわけですね(笑)。

目次

序章  はじめに
戦略1 価格を本当に決めているのは誰か
戦略2 ドロ沼の価格競争を絶て
戦略3 売りモノから、顧客の顔が見えるか
戦略4 利益率とは自社の価値尺度である
戦略5 先駆者だけに与えられる特権
戦略6 絶対的な強みを創り出す
戦略7 固有名詞で競争せよ
戦略8 オンリーワン企業となる3つの秘訣
戦略9 商品ラインを拡げる定石
戦略10 ヒットより、意図してロングセラーを狙え
戦略11 プロに認められるモノ作り5つの条件
戦略12 顧客とのあらゆる接点で、感動を生み出せ
戦略13 伝わるキーワードを持っているか
戦略14 市場シェアと顧客シェア
戦略15 1人の顧客に何十回と利用してもらう秘訣
戦略16 望ましいクチコミを意図して創り出す
戦略17 語らずにはいられない伝説を生み出せ
戦略18 超ごひいき顧客をつくりだす
戦略19 経営者の熱い想いを、伝わる形にして示す
戦略20 最適な収益ポイントで事業を展開しているか
戦略21 収益が繰り返す仕組みづくり
戦略22 参入障壁づくりは万全か
戦略23 事業を飛躍させる魔法
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー