2004年7月28日

『シニアビジネス』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478502315/

シニアビジネスに関しては、10年以上も前からその重要性が叫ばれてきました。第一次シニアビジネスブームは、いわゆる「シルバービジネス」と呼ばれるもので、お客様を「老人」扱いすることでものの見事に失敗しました。

その点、現在のシニアビジネスブームは、ちょっと違って、「アクティブ・シニア」と呼ばれる、お金と時間に余裕のある50代以降をねらったものです。

この「アクティブ・シニア」向けビジネスの動向を紹介した本としては、かつて『シニア世代の心をつかむ7つの法則』といういい本がありました。

参考図書
『シニア世代の心をつかむ7つの法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413032799/

この本は、シニア向けビジネスのコンサルティングを手掛ける著者が書いたもので、日米の先端事例も盛り込まれていました。団塊世代の心を的確にとらえており、当時としては画期的な1冊でした。

しかし、この本が書かれてから3年が過ぎ、シニアビジネスはまた新たなステージに向かっています。それは、単なるビジネスアイデアから、儲けるための、まっとうなビジネスモデルへの変化、そして、「団塊世代」を「かたまり」としてとらえることをやめ、その多様性に対応するようになった、という変化です。

本日紹介する『シニアビジネス』には、この多様性への対応方法と、まっとうなビジネスモデルを構築するための鉄則、そしてアメリカの最先端事例が書かれています。

『シニアビジネス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478502315/

女性専用のフィットネスクラブで成功した「カーブス」や、シニア向けの話し相手を提供する「ホーム・インステッド・ケア」、シニア向けのスタイリッシュなグッズを通信販売する「ゴールドバイオリン」、一人暮らしの生活周りで生じる「雑用」を引き受ける「ミスターハンディマン」、世界最大のシニア向け体験学習サービス「エルダーホステル」などなど。

いずれもアイデアとしてはさほど目新しくないですが、労働集約型ビジネスに陥りやすいシニアビジネスを、見事に「企業化」した点が注目です。

徹底的にムダを省き、お手軽さと低価格を実現した「カーブス」や、必要な道具と材料がフル装備のバンを独自開発し、コストダウンと効率的経営を実現した「ミスターハンディマン」などは、その最たる例です。

著者が述べているように、「労働集約に陥りやすい人的サービスを、プロの専門スキルを提供する『システム商品』に仕立て」ることこそが、シニアビジネス、およびこれからの知識社会で求められるビジネスの成功要件なのでしょう。

そんなわけで、本日の1冊は、

『シニアビジネス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478502315/

『シニア世代の心をつかむ7つの法則』のアップデート版としてもぜひ読んでおきたい1冊です。

目次
プロローグ 団塊市場を見ているだけでは、団塊市場は見えてこない
序章 多様性への適応力
第1章 「不の発見者」
第2章 商品シーズ編集者
第3章 エイジング・スタイリスト
第4章 出張駆込み寺
第5章 プライベート・コンシェルジュ
第6章 第三の場所
第7章 知的合宿体験
第8章 ナレッジ・ネットワーカー
第9章 知縁
第10章 ゆるやかな大家族
終章 「多様性市場」で成功する10の鉄則
エピローグ 自分の感性で判断し、自ら先駆者として一歩踏み出す
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