2004年7月31日

『お客様が教える「売れる商品」の見つけ方』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511649/

どうでしょう?このタイトル。おそらく多くの方は、既に購入する気をなくしてしまったと思います。私もこの本をいただいた時は、正直、「なんだこりゃ」と思ってしまいました。

しかし、この本はじつはすごい本なのです。まずは、タイトルを忘れて、説明を聞いてください。

ちなみに著者は、株式会社ヴェルジェと株式会社野菜ビジネスの経営者。ボランタリー・チェーンの加盟店舗は、既に100社を超えているという、野菜ビジネスの第一人者です。

この本が教えてくれるのは、「客単価と客数が同時にアップする」手法です。これは、通常の小売の感覚では理解できません。なぜなら、売上=客単価×客数で、売上を上げるには、「客単価か客数を上げる」のが小売の常識とされているからです。

そして、客単価を上げるには、一人の客に高い商品、あるいはたくさんの商品を「売りつける」、客数を増やすにはチラシや広告などで「集客」をするというのが、これまた常識です。

ところが、著者が説く「ロータス・メソッド」は、そうではありません。では、一体どんな手法なのか、一緒に見ていきましょう。

本題に入る前に、一緒に著者の質問に答えてみましょう。

「現在、食品業界では、1万品(単品)もの商品が売られていますが、顧客100人がお店に来店して10個以上売れる商品(その商品の支持率が10%以上ということ)はいくつあると思いますか?」

正解は、なんとたったの10品だそうです。

しかも、著者に言わせると「そのうちスーパーマーケットでは、100人来店して10個以上売れる商品は5~10品で、実際には10品を超えるお店はほとんどないに等しいのが現実」なのだそうです。

もう1つ、質問に答えてみましょう。

「顧客100人が来店して、1個以上売れる商品(その商品の支持率が1%ということ)はいくつあると思いますか?」

正解は、1万品のうち「200品」前後だということです。

つまり、「エブリディ・マーケット業界では、支持率10%以上の商品は10品もなく、1%以上の商品は200品前後しかない」のです。

著者の説く「ロータス・メソッド」では、この顧客の支持率が10%以上の商品をフロントエンドに陳列し、支持率1%以上の商品をバックエンドに陳列します。顧客支持率の高い品ぞろえにすることで、お客を引き寄せ、かつ買ってもらうのです。

ちなみに、野菜のビジネスで最も顧客の支持率が高いのはトマトだそうで、八百屋さんにとってはこのトマトをどう戦略的に売るかが勝負のカギを握っています。

さて、ちょっと脱線してしまいましたが、最後に、従来の考え方と著者のメソッドを比べて、まとめてみましょう。

【従来の考え方】
売上=客単価×客数

【著者の考え方】
売上=買上げ点数÷客数(PI値)×平均単価×客数

じつは同じ事を言っているのですが、著者いわく、「従来の売上式では、商品Aをどれくらいの顧客が買ったという値が客単価のなかにまぎれてしまって見えません。しかし、客単価を分解することにより、商品Aが購入される割合が浮かび上がります」という。

こうすることによって、これまでアナログ店舗では聞こえなかった、「顧客の声」や「購買パターン」が得られるようになるのです。アナログ店舗でも、ここまでできるのですね。

もし著者の手法をマクドナルドが知っていたら、頻繁な価格変更でお客様を戸惑わせることはなかったでしょう。

ということで、本日の1冊は、

『お客様が教える「売れる商品」の見つけ方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511649/

です。小売以外にも役立つヒント満載の1冊です。

目次

第1章 どうして売れない、顧客が来ない?
第2章 小さなことからお店が変わる!
第3章 顧客の声が数字で見える!
第4章 客単価と客数を同時にアップさせる!
第5章 勇気と誇りがお店を変える!
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