【感動&ビジネスヒント満載の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492522379
本日ご紹介する一冊は、デジタル障害者手帳の「ミライロID」、障害者が安心して街に出られる「バリアフリーマップ」、累計22万人が受講した「ユニバーサルマナー検定」など、ユニークなバリアフリービジネスを次々と打ち出す、株式会社ミライロの代表取締役社長、垣内俊哉さんによる一冊。
自身、骨形成不全症という遺伝性疾患を抱え、幼少時より車椅子生活を余儀なくされてきたという著者が、バリアフリービジネスの勘所と、この市場の潜在力、企業に必要な対応について述べています。
2024年4月に、改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者による障害者への合理的配慮の提供が法律で義務づけられたのと、グローバル化に伴い、企業が突然訴えられるリスクが増大している点を指摘しており、飲食店やECサイトの経営者は、特に注意した方がいいと思います。
具体的に言うと、お店に車椅子の方が来店した場合、対応を間違うと店が法的責任を問われる可能性がある、ということです。
実際、2021年には大手スポーツジムが会員であった車椅子ユーザーの入店を拒否した上、本人の同意なしに除名したとして、裁判で慰謝料の支払いを命じられています。
また、同年に聴覚障害者のアトラクション利用を拒否したアミューズメントパークが、公式謝罪に追い込まれています。
もはや、バリアフリーへの対応は、対岸の火事ではないということでしょう。
反対に、もし企業が「面倒くさい」を乗り越え、「バリア」を「バリュー」と捉えるなら、ビジネスチャンスは無限に増大します。
本書によると、日本で暮らす障害者はおよそ1165万人(2022年、統計局HP)で、総人口の約9%。世界で見ると、18.5億人、13兆ドルに及ぶそうです。
以前ご紹介した、『ヒットをつくる「調べ方」の教科書 』に、「インクルーシブ」という考え方がありましたが、障害者のために開発された商品が、一般の方にとっても便利ということで大ヒットする例は、枚挙にいとまがありません。
『ヒットをつくる「調べ方」の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569849547
ぜひ本書を読んで、バリアをバリューに変えるヒントを手に入れてください。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
—————————-
障害は人ではなく、社会にある
障害者から何らかの配慮を求められた場合、事業者は過重な負担がない範囲で、社会的障害を取り除くことが求められています
2019年、世界的なアーティストであるビヨンセさんが所有するマネジメント会社、パークウッド・エンターテインメントが、視覚障害者のファンから提訴された。公式サイト「beyonce.com」の多くのコンテンツが画像で構成され、画像の情報を説明する代替テキストも設定されていなかった。読み上げ機能を使っても、必要な情報にアクセスできないことが争点となった
未上場の中小企業だから関係ない、とも言っていられません。大企業は近年、取引先の人権侵害リスクに神経を尖らせています。また、中小・零細企業の製品もECサイトを介して国境を越えて販売されています。アクセシビリティの問題がてんこ盛りのサイトを、今この瞬間に世界のどこで誰が見ているかがわからないのです
隻腕の人も簡単に火をつけられるようにとライターが誕生したのは有名
あるファッション通販サイトでは、車いすユーザーの困りごとに着目して開発したパンツが、売上点数とPV数において全商品中で1位となりました
そこで、障害のある社員を採用して、新たな視点を社内に取り入れていきました。生まれつき全盲の人、子どものときの病気が原因で聴力が低下した人、知的障害のあるお子さんがいる人……。さまざまな障害や背景のある社員が、私だけでは気づかなかったバリアを拾い上げ、改善策を考えて提案する。そうやって会社としての多様性を高めました
社会には大きく三つのバリアが存在する
・「環境」のバリア
・「意識」のバリア
・「情報」のバリア
時間や労力、お金を使って誰かのためになるような行動をすると、人は幸せを感じる
丸井グループでは、ESGデータブックでユニバーサルマナー検定の累計受講者数を開示しています
2023年3月には、西武鉄道と共に、鉄道事業者向けのユニバーサルマナー検定を開発
ひとしきり話し終えると、富松さんは「それで君は、ちゃんと登り切った先の景色を見たのかい?」と、私に尋ねました。もうリハビリをしても意味がないと勝手に決めつけて、自暴自棄になっていた自分を見透かされた気がしました。続けて、「人生はバネだ。今はつらいかもしれない。でも、いつかバシッと伸びるときが必ず来る」と富松さんは続けました
—————————-
株式会社ミライロのビジネス開発の軌跡を読むだけでも勉強になりますが、ビジネス視点でバリアフリーの世界を紹介しているので、新規事業創出、新商品開発のヒントになると思います。
起業家、事業開発の担当、商品開発者は、ぜひ読んでおくといいと思います。
また、あんま、鍼、灸、医療の道を切り拓いた杉山和一(すぎやまわいち)や、琵琶・琴などの演奏指導を通じて視覚障害者の働き方を広げた八橋城談(やつはしじょうだん)(京銘菓「八ツ橋」の考案者)、400字詰め原稿用紙を生み出した塙保己一(はなわほきいち)、点字ブロックを発明した三宅精一など、日本のバリアフリー先駆者たちの例が出てきて、教養としても読めると思います。
ぜひ、読んでみてください。
———————————————–
『バリアバリューの経営』
垣内俊哉・著 東洋経済新報社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492522379
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0DFBP1N87
———————————————–
◆目次◆
プロローグ
第1章 ビジネス視点での障害者差別解消法
第2章 バリアをバリューに変える
第3章 障害者が今日を楽しみ、明日を期待できる社会
第4章 バリアフリー先進国日本
エピローグ
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。